2021年11月12日掲載

BOOK REVIEW - 『人事のためのジョブ・クラフティング入門』

川上真史、種市康太郎、齋藤亮三 著
四六判/274ページ/1600円+税/弘文堂 


BOOK REVIEW 
人事パーソンへオススメの新刊


 近年、人事領域で注目される"エンゲージメント"。エンゲージメントの高い状態とは人の心が「ポジティブで充実した状態」であることを指し、社員がこうした状態であると、企業業績や企業の活性化等に良い影響をもたらすと言われている。エンゲージメントというと、労働環境や職場の人間関係、福利厚生などの組織的な改善を中心とする施策を想起しがちだが、本書ではもう一つのアプローチとして、「個人」の仕事(職務・業務)に対するエンゲージメントにも注目する。そして、個人のエンゲージメントを向上させる要素として、"ジョブ・クラフティング"という新しいメソッドを紹介する。

 ジョブ・クラフティングとは、「働いている人自身が、仕事に対して変化を加えること」、つまり仕事を手作りする(=自ら創意工夫し変化させる)ことを意味する。本書の第Ⅰ部では、このようなジョブ・クラフティングの基本やエンゲージメントの概念を整理した上で、「会社・組織」の面からエンゲージメントを向上させる方法を取り上げる。そして、第Ⅱ部ではジョブ・クラフティングを中心とした取り組みによって、個人の仕事に対するエンゲージメントを高めるための、具体的な手法を紹介していく。さらに、第Ⅲ部では、ジョブ・クラフティングやエンゲージメントの視点を人事施策に活かす方法について、具体的な事例を挙げながら解説する。

 ジョブ・クラフティングは、仕事のプロセス、人との関係や仕事の捉え方、考え方について、社員個人が自発的に行動し、工夫をしていくことがポイントである。本書では、このようなジョブ・クラフティングの基本や、ワーク・エンゲージメントを高めるためのアプローチについて、学術的な背景にも触れながら分かりやすくまとめており、まさに入門書として最適な1冊である。

 



人事のためのジョブ・クラフティング入門

内容紹介

働きがいはつくれる。
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、多くの企業が在宅勤務を実施し、オンラインのコミュニケーションが当たり前の時代となりました。こうした環境下で、仕事に対するモチベーションを維持するのが難しいと感じている人は多いのではないでしょうか? 新しい働き方には新しい人材マネジメントの手法が必要です。本書では、その考え方の中心に「エンゲージメント(働くことへののめり込み)」と、「ジョブ・クラフティング(「仕事」を手づくりする力)」を位置づけました。
管理・マニュアル・(仕事はつまらないものという)呪縛から解き放たれ、自分で自分の仕事をつくる時、ポジティブな熱中のエネルギーが生まれます。個人と組織の幸福度を高め、成長を促す人材マネジメントの手法を提案する一冊です。