2021年11月26日掲載

BOOK REVIEW - 『フィードバックの真価~職場に信頼を生み出し、共に成長する~』

タムラ・チャンドラー、L・グレーリッシュ 著
佐野シヴァリエ 有香 訳 
200ページ/定価2000円+税/ヒューマンバリュー 


BOOK REVIEW 
人事パーソンへオススメの新刊

 定期的な人事評価面談のほかにも、プロジェクトの振り返りやちょっとした指摘など、職場のさまざまな場面でフィードバックは実施される。しかし、いざ「フィードバックしたいから、来てくれる?」と声を掛けられると、たとえその上司と良好な関係にあったとしても、多くの人は不安になると著者は述べる。本書はフィードバックをネガティブに捉えてしまう原因を、人間の認知の仕組みから解説した上で、組織のパフォーマンスを高めるためのフィードバックを実施する方法を紹介する。

 まず、フィードバックを「個人や集団が改善・成長・前進することを唯一の目的として、自ら求めたり、他者から提供される、明確で具体的な情報」と新たに定義する。そして、より良いフィードバックの文化を広げるには、フィードバックを「受け取る人(receivers)」と「提供する人(extenders)」、そして積極的にフィードバックを「求める人(seekers)」の三つの役割を担う人が、共通の認識を持つ必要がある――と提言する。その上で、それぞれの役割における課題とその解決方法を詳解する。例えば、フィードバックを「提供する人」の役割を果たすために、信頼関係構築の第一歩となる、ポジティブなつながりづくりを進める上での留意点を挙げていく。

 終盤の第9章「フィードバック実践のためのシナリオ集」では、三つの役割の実践方法を事例に沿って解説する。フィードバックを求めたり、受けたりする場面で巻き起こる不安な気持ちと向き合う方法や、相手を前向きにさせるフィードバックの提供方法が具体的に挙げられており、実際の場面と重ねて考えを深めることができるだろう。フィードバック・カルチャーを育み、組織のパフォーマンスを高めるためのガイドとしてご活用いただきたい。

 



フィードバックの真価~職場に信頼を生み出し、共に成長する~

内容紹介

フィードバックは、自分自身や他者が成長し組織のパフォーマンスを高めていくために重要なもの。フィードバックの定義を捉え直し、フィードバックによって職場に「信頼」や「つながり」を生み出すためのモデルやツールを紹介。

「フィードバック」という言葉を聞くと、年に1回の評価面談で、うまくいかなかったことや改善点を指摘されて傷ついたことなど、「フィードバック」にまつわる苦い経験を思い出す人も多いのではないでしょうか。
しかし、立ち止まってフィードバックの本来の価値について考えてみると、フィードバックとはむしろ、自分自身や他者が成長し、組織のパフォーマンスを高めていくために重要なものであることに気がつきます。
本書はフィードバックの定義を新しく捉え直し、フィードバックによって人々に勇気を与え、一人ひとりの可能性を解放するための、実践的なガイドです。