2021年12月10日掲載

BOOK REVIEW - 『だから僕たちは、組織を変えていける』

斉藤 徹 著
株式会社hint代表、株式会社ループス・コミュニケーションズ代表 
A5判変型/340ページ/定価1880円+税/クロスメディア・パブリッシング 


BOOK REVIEW 
人事パーソンへオススメの新刊


 本書は、社会の変化に追いつけない組織が抱える問題と、組織のメンバーが抱く「違和感」に焦点を当て、「知識社会の組織のつくりかた」に必要な組織論を体系化した一冊だ。著者は起業家、経営者、教育者、研究家という幅広いバックグラウンドを持ち、社会学、心理学、経営学の視点から多角的に論じられているのが本書の特徴の一つである。

 本編は"Why"、"What"、"How"の切り口で構成され、まず第1章"Why"では、時代の変遷と指数関数的に変化する社会構造を、社会学の視点から解説する。第2章"What"は経営学の視点を織り込みながら、目指すべき組織の姿として「学習する組織」「共感する組織」「自走する組織」という三つのモデルを示す。第3章から第6章は"How"として「組織のつくりかた」の実践的な内容を解説する。心理的安全性や動機付けの意義など、心理学の視点に基づいた理論的なアプローチを多く紹介する。学術的な内容も、図表やイラスト、具体的な会話例のマンガなどで視覚的に分かりやすく展開されているのも本書の特徴だ。

 著者は本書の対象を「現状に違和感を持ち、組織を変えたいと思う人に向けた」と述べ、どんな立場にあっても、所属する組織をよりよくしたいという思いがあれば、組織変革の起点「スモールイノベーター」になれると提言する。巻末付録には実際に組織の課題と向き合ったスモールイノベーターのインタビューが掲載されている。組織への違和感や、組織を変えたいという思いがあるのなら、まず手に取っていただきたい一冊だ。

 



だから僕たちは、組織を変えていける

内容紹介

世界の経営学、組織論、リーダー論によって解き明かされる、
たったひとりから組織を変えていくための超実践的メソッド


「チームのメンバーをいくら指導しても結果がでない」
「目標を厳しく伝えているのにやる気になってくれない」
「そもそも、今のやり方は本当に正しいのだろうか?」

この本は、現状に違和感を持ち、組織やチームを変えたいと思う人に向けて、これからの時代にふさわしい組織像と、実践的な変革メソッドを紹介します。
最も重視しているのは「関係性の質」です。ここが変わることで、チームの「思考」が変わり、「行動」が変わり、「結果」もついてきます。
本書では、そのために必要な「心理的安全性の創出」「仕事の意味の共有」「内発的な動機づけ」といった具体的手段を、世界基準の理論に基づいて紹介していきます。
管理職やリーダーはもちろんのこと、現場の一社員であっても、チームをリードして「組織を変えていく」ための知見と技術をお伝えします。