残業代1億円支払い命令 京都地裁、タクシー会社に

 

 京都市のタクシー会社「洛東タクシー」と「ホテルハイヤー」の男性運転手計27人が、歩合給に残業代を含むとする会社の制度により、残業代が不当に未払いになっているとして計約1億900万円の支払いを求めた訴訟の判決で、京都地裁は9日、計約1億500万円を支払うよう命じた。

 判決によると、2社の賃金は基本給に加え、営業成績で決まる歩合給の「基準外手当」などで構成される。池田知子裁判長は、雇用契約書などの書面上、「基準外手当が時間外労働の対価との記載はない」と指摘。歩合給は所定勤務時間内の賃金に当たり、残業代は別途支払う必要があると判断した。

 会社側は、乗客を探して走る「流し」や休憩場所に向かうための時間は労働時間に当たらないと主張。池田裁判長は、空車のタクシーは途中に客がいたら乗せることになるとして労働時間と認め、残業代の計算に含めた。2015年7月~17年5月までの未払い残業代に、制裁に当たる「付加金」を加え、金額を算出した。

 原告側の代理人弁護士は京都市内で記者会見し「タクシー業界でも、きちんと働いた分をもらうことが広がってほしい」と話した。

 2社は取材に「担当者が不在でコメントできない」とした。

(共同通信社)