政府は15日、2022年4月から始まる不妊治療への公的医療保険適用の骨格を固めた。体外受精などへの適用は、治療開始時に女性が43歳未満であることが条件で、最大6回までと制限を設ける。男性には年齢制限はなく、事実婚のカップルも対象となる。不妊治療は現在、一部を除いて保険が利かない。治療を受ける夫婦の割合が増加する中、経済的な負担軽減につながることが期待される。
体外受精と顕微授精の適用条件は、現行の国の助成制度に合わせ、女性が40歳未満の場合は子ども1人を産むごとに6回まで、40歳以上43歳未満は3回までとする。より初期段階の治療である排卵の時期を指導するタイミング法や、人工授精などには年齢、回数の制限は設けない。
適用外となった治療法も、医療機関の申請があれば保険診療と併用ができる「先進医療」に位置付けるかどうか個別に議論する。
厚生労働省が同日、中央社会保険医療協議会(中医協)に提案し、大筋で了承された。具体的な価格設定は年明けに決める。体外受精や顕微授精に原則1回30万円を給付する国の助成制度は、年度をまたぐ場合を除き22年3月末で終了する。
厚労省によると、日本では約3組に1組の夫婦が不妊を心配したことがあり、実際に検査や治療を受けた夫婦は約5・5組に1組。体外受精や顕微授精で生まれる子どもの割合は、07年は総出生児の1・8%だったが、18年には6・2%に上昇している。
不妊治療は現在、一部を除き保険が適用されない「自由診療」で、国や自治体の助成以外は全額自己負担。保険適用されると原則3割負担で済む。子どもを望むカップルの経済的負担が重く、菅義偉前首相が昨年、少子化対策の一環として保険適用を打ち出した。
(共同通信社)