2021年12月24日掲載

BOOK REVIEW - 『中小企業のための人事評価の教科書』

宮川淳哉 著
株式会社ワンネス・コンサルティング 代表取締役、中小企業診断士 
四六判/320ページ/定価1600円+税/総合法令出版 


BOOK REVIEW 
人事パーソンへオススメの新刊

 2020~2021年の2年間に、新型コロナウイルスの感染拡大によりテレワークが普及・定着した一方で、人事評価やマネジメントに関してさまざまな問題が浮上することとなった。特に、「テレワークだと、これまでと同様には評価ができない」と頭を悩ませる人事担当者・マネジャーも多いだろう。しかし、著者は「テレワークが原因だというのは誤解である」と、こうした悩みを一刀両断する。本書では、こうした誤解を解いた上で、人事評価制度の構築と運用のノウハウを提示する。

 第1章では、コロナ禍で顕在化した人事評価・マネジメントの課題を取り上げる。テレワークに伴って新たに発生したと思われている、「部下の働きぶりが見えない」「プロセスが評価できない」といった問題は、そのほとんどが誤解であるとした上で、仕事の進め方・管理の基本に立ち返って解説する。"そもそも、人事評価で測る「成果」「プロセス」とは何だったのか"など、今一度考え直す機会となるだろう。第2章では、人事評価制度の目的として、マネジメントや人材育成との関係性を整理する。続く第3章では「目標設定→目標達成ツール」としての活用ポイントを、第4章では「評価→育成ツール」としての活用ポイントを深掘りしていく。人事評価やマネジメントの本質をしっかりと捉え直した上で、基礎的な内容から実務面でのポイントまでを丁寧に説明している点こそ、本書の特徴だろう。

 本書の冒頭で、著者は「人事マネジメントの本質はコロナ前もコロナ後も変わりません」と記しており、テレワークの導入などにより雇用や人事評価、マネジメント、コミュニケーションの在り方に問題が生じている企業は、"今までやっていなかったことが顕在化しただけ"だと指摘する。人事評価がうまく機能していないと感じている人事担当者、部下のマネジメントや評価に課題を抱えているマネジャーにこそ、お薦めしたい一冊である。

 



中小企業のための人事評価の教科書

内容紹介

テレワークやジョブ型雇用の時代でも人事評価の本質は変わらない!
本文掲載の各種フォーマットがダウンロード可能!


企業の人事評価のあり方が大きく変わろうとしている。
残業などを抑制する「働き方改革」の実施、会社以外の場所で勤務する「テレワーク」の推進、そして職務内容を明確に定義したうえで必要な人材を採用する「ジョブ型雇用」への転換など、従来のマネジメントとは異なる制度への移行が叫ばれている。
しかし、本書著者の宮川氏は「多くの日本企業は見かけのトレンドに振り回されて、何のために人事評価を行うのかという本来の目的に真正面から取り組んでこなかった」と主張する。
ベテラン人事コンサルタントが長年のキャリアに基いて書き下ろした、新時代に真に役立つ人事評価のテキスト。