2021年12月24日掲載

BOOK REVIEW - 『若手育成の教科書』

曽山哲人 著
株式会社サイバーエージェント 常務執行役員CHO 
四六判/320ページ/1600円+税/ダイヤモンド社 


BOOK REVIEW 
人事パーソンへオススメの新刊

 多くの20代・30代の若手が活躍しているサイバーエージェント。同社では、入社2年目で子会社社長、20代で本社の取締役など、早期抜擢を積極的に行っていることでも広く知られる。こうした背景には、教育するよりも先に抜擢することで、自走する社員が育つ――という同社独自のメソッドがある。本書では、同社で16年にわたり人事部門のトップを務めてきた著者が、いかにして「若手が育つ」仕組みを整えるのかを解説する。

 若手育成で重要なのは、会社や上司が人を「育てる」のではなく、本人が自発的に「育つ」仕組みをつくることだ。そして、「若手が育つ」仕組みの基本ルールは、メンバーから「やりたい」と意思表明させ、それを承認し、やらせることである。そう指摘した上で、若手が自走する仕組みとして「抜擢→決断→失敗→学習」というサイクルを紹介する。本書では、このステップごとに、リーダーやメンターがどのように働きかけるべきかを解説していく。各パートでは、メンバーへの声かけの例や、抜擢を成功させるためのポイント、自部署の状況を整理するためのワークシートなどが豊富に紹介されている。

 「抜擢」というと、多くの人が「昇進や昇格」「リーダーへの指名」など、職位や役割の変化が伴うものを想起するだろう。しかし、本書では「抜擢=期待をかけること」と捉え、まずは本人に期待を伝え、「やりたい」という意思を引き出すことが重要であると強調する。「期待をかけること」「『やりたい』という意思を引き出すこと」は、日常の業務の中ですぐに取り入れることが可能だ。サイバーエージェント流の人材育成のノウハウを、ぜひ自社でも生かしていただきたい。

 



若手育成の教科書

内容紹介

サイバーエージェントの人事部門トップによる人材育成術を初公開!
「若手育成」に関する悩みを解決するための具体的なやり方


企業研修・勉強会に最適! マネジャー、メンター、トレーナー必読の、若手が急成長する「最強の人材育成術」。のべ3000人以上の採用に関わり、300人以上の管理職育成に携わったサイバーエージェントの人事部門役員による「抜擢メソッド」を初公開。図やリストを多数収録し、現場ですぐに活用できる
若手育成で一番大切なのは、「成長実感」という根拠のある自信をつけさせること。マネジャー・メンター・トレーナー向けに、サイバーエージェントが実践する「若手が勝手に育つ」方法を紹介する。ワークシートも収録。