2022年01月14日掲載

BOOK REVIEW - 『問いかけの作法 チームの魅力と才能を引き出す技術』

安斎勇樹 著
株式会社MIMIGURI代表取締役Co-CEO/東京大学大学院 情報学環 特任助教 
四六判/400ページ/定価1800円+税/ディスカヴァー・トゥエンティワン 


BOOK REVIEW 
人事パーソンへオススメの新刊

 いわゆる"お通夜ミーティング"を経験したことはないだろうか?
「意見はありませんか」「アイデアを出してください」「自由に話しましょう」と呼びかけても、誰も口を開かない。社会人なら一度は遭遇したことがあるであろう状況だが、問いかけ方にちょっとした工夫を加えるだけで、話し合いの雰囲気は大きく変わるものである。本書は、チームメンバーの魅力と才能を引き出し、チームのポテンシャルを最大限に発揮するための「問いかけの作法」について解説した一冊だ。

 本書において「問いかけ」とは、「相手に質問を投げかけ、反応を促進すること」と定義される。第2章では、この質問に対する反応のメカニズムを明らかにした上で、問いかけの四つの基本定石("相手の個性を引き出し、こだわりを尊重する""適度に制約をかけ、考えるきっかけを作る"など)を提示する。基本定石を意識して工夫を凝らすだけでもチームの空気は変わっていくというが、さらに第3章以降では、「見立てる」「組み立てる」「投げかける」という、問いかけの真価を発揮する三つの作法(問いかけのサイクル)を解説していく。具体的なノウハウは本書を読んでほしいが、これまで何気なく行ってきた問いかけの奥深さと、チームで仕事をする上で適切な問いかけを行う重要性を感じることができる内容となっている。

 著者は問いかけについて、「人間力やセンスではなく、一定のルールとメカニズムによって説明できる、誰にでも習得可能なスキル」だと断言する。本書では、著者の10年以上に及ぶ研究と実践により確立された"問いかけの理論"がまとめられており、まさに誰でも習得できるように丁寧に説明されている。今後、チームで成果を生み出すことがより大切になっていく中で、一度は読んでおきたい一冊だろう。

 



問いかけの作法 チームの魅力と才能を引き出す技術

内容紹介

チームの主体性と創造性を発揮したい、すべてのマネージャー必携!
ベストセラー『問いのデザイン:創造的対話のファシリテーション』著者による最新作


仲間と力を合わせ、チームで成果を出すためには、周囲に投げかける「問いかけ」の質を変えることが重要です。
著者の長年の研究と実績をもとにノウハウ化された、チームの眠っているポテンシャルを最大限に発揮させるための「問いかけ」の実践的指南書!
チームを動かすのは「叱咤激励」ではなく「2つの問いかけ」にあり。チームメンバーの魅力と才能を引き出し、チームのポテンシャルを最大限に発揮するための技術「問いかけの作法」を紹介します。