採用選考
採用選考は、応募者の基本的人権を尊重すること、応募者の適性・能力のみを基準として行うことの2点を基本的な考え方として実施することが大切です。応募者が、求人職種の職務遂行において必要な適性・能力を持っているかどうかという基準で採用選考を行い、応募者の適性や能力に関係のない事柄について応募用紙に記入させたり、面接で質問したりしないようにしなければなりません。
採用の内定
採用内定は書面で行うべきですが、どの時点で労働契約が締結されたものとなるかは、その個々の事情、採用通知の文言、従来の取り扱い方などによって異なります。たとえば、雇用契約締結の日を明示して採用が通知された場合には、その日に労働契約が有効に成立しているものと考えられますが、出社について特段の指示がないような採用通知の場合には、単なる労働契約の予約と考えられます。
採用・内定の取り消しや内定の辞退があったときにこの違いを判断する必要がありますので、採用内定についても就業規則などで明確に規定しておくことが必要です。
内定者の身分・立場は不安定
内定を受けた時点で労働契約が成立しているとみなされない限り、内定者は労基法上の「労働者」といえず、休業手当や解雇規定が適用されないため、身分・立場は不安定なものとなっています。したがって、内定者である学生が学校を卒業することができなかった、重大な経歴詐称があったなどの理由がない限り、採用・内定を取り消すことは難しいと考えるべきです。
一方、採用内定者から辞退を申し出てくる場合がありますが、これについては信義則上の問題はあるものの、結局は企業として辞退を受け入れざるを得ないでしょう。
採用選考時に配慮すべき事項
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この解説は『初任者・職場管理者のための労働基準法の本 第4版』より抜粋しました。労務行政研究所:編 A5判 192頁 2,035円 |