2022年02月01日掲載

労働基準法の基礎知識 - 36協定とその内容

時間外・休日労働をさせるには

 労使間で書面による協定(36協定)を結び所轄の労働基準監督署に届け出ることによって、法定労働時間を超える時間外労働や法定の休日に労働させることが可能となります。所定労働時間(たとえば7時間)を超えて労働させる場合でも、法定労働時間である8時間を超えないのであればこの協定は必要ありませんが、それを超える時間外労働が発生する実態があるならば、必ずこの36協定を結ばなくてはなりません。
 なお、労働組合が「組合員」について会社と36協定を締結していたとしても、特段の合理的事情がない限り、この36協定の効力は労働組合員以外の労働者にも及びます。

定めておくべき事項と時間外労働の上限規制

 36協定には、時間外労働・休日労働をさせる必要のある具体的事由、業務の種類、労働者の数、1日・1カ月・1年についての延長することができる時間数や労働させることができる休日、協定の有効期間等について定めなければなりません。
 「労働者の数」については、時間外労働や休日労働をさせることができる労働者の数について協定すべきものですが、例えば、協定の締結後、労働者の数に若干の変動があったとしても、特段の事情がない限り、この協定によって時間外労働をさせることができます。
 「延長することができる時間」については、「1日」「1カ月」「1年」の時間外労働の上限時間を定めます。しかし、この上限時間内で労働させた場合であっても、実際の時間外労働と休日労働の合計が月100時間以上または2~6カ月平均80時間超となった場合には法違反となるため、時間外労働と休日労働の合計を月100時間未満、2~6カ月平均80時間以内とすることが必要です。

時間外労働の上限規制

●時間外労働の上限
原則として月45時間・年360時間
臨時的な特別の事情がなければこれを超えることはできない
(月45時間は、1日当たり2時間程度の時間外労働に相当)

●臨時的な特別の事情があって労使が合意する場合
労使合意があっても、

・時間外労働が年720時間以内

・時間外労働と休日労働の合計が月100時間未満

・時間外労働と休日労働の合計について、「2カ月平均」「3カ月平均」「4カ月平均」「5カ月平均」「6カ月平均」がすべて1カ月当たり80時間以内となること
(月80時間は、1日当たり4時間程度の残業に相当)

※原則である月45時間を超えることができるのは年6カ月まで

この解説は『初任者・職場管理者のための労働基準法の本 第4版』より抜粋しました。労務行政研究所:編 A5判 192頁 2,035円
(URL:https://www.rosei.jp/store/book/9123
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