2022年02月01日掲載

労働基準法の基礎知識 - 1週間単位の非定型的変形労働時間制

小規模企業に限られる

 1週間単位の非定型的変形労働時間制は、ほかの変形労働時間制と比べて短いタームで設定する労働時間制度です。忙しい日にはある程度長く働くかわりに、比較的忙しくない日は休日とするか労働時間を短くすることにより、全体としては労働時間の短縮につながることを期待するものです。
 この制度を導入するためには、①小売業、旅館、料理店および飲食店の事業であって規模が30人未満のものについて、②労使協定において、③1週間の所定労働時間として40時間以内の時間を定めることを要件とし、その労使協定を所轄の労働基準監督署に届け出ることとしています。
 30人未満の事業に限って採用することができるとしたのは、パートタイム労働者などを雇うことで、ある程度業務の繁閑に対応できる大きい規模の事業場と違い、小規模企業ではこのような対応をとることが難しいためです。
 なお、「30人未満」とは、常態として30人未満の労働者を使用しているという意味であり、時として30人以上となる場合は除きます。

各日の労働時間を事前に通知する

 この制度を採用した場合、各日の労働時間は(1週40時間の範囲内で)1日10時間を限度とします。「1日10時間」とは、事前通知によって労働させることができる時間の限度であり、時間外労働をさせる場合には、別途36協定を締結しなければなりません。
 各日の労働時間については、その前週末までに書面で通知します。つまり、1週間を暦週で区切っている場合、その1週間がはじまる前まで、すなわち遅くとも前の週の土曜日までにその週の各日の労働時間を定めて、労働者に通知しなければなりません。
 台風による影響など緊急でやむを得ない事由により、あらかじめ通知した労働時間を変更することとなった場合には、変更しようとする日の前日までに、書面で労働者に通知することで、変更することができます。

各日の労働時間と時間外労働

変形労働時間制の比較

この解説は『初任者・職場管理者のための労働基準法の本 第4版』より抜粋しました。労務行政研究所:編 A5判 192頁 2,035円
(URL:https://www.rosei.jp/store/book/9123
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