2022年02月01日掲載

労働基準法の基礎知識 - フレックスタイム制

フレックスタイム制の特徴

 フレックスタイム制は、一定の期間についてあらかじめ定めた総労働時間の範囲内で、労働者が日々の始業・終業時刻や労働時間を自ら決めることのできる制度です。労働者は仕事と生活の調和を図りながら効率的に働くことができる一方、使用者は労働時間を指定するような業務命令をすることはできません。

労使協定の締結事項

 導入するうえで労使協定で定める事項は、①対象となる労働者の範囲、②清算期間、③清算期間における総労働時間、④標準となる1日の労働時間、⑤コアタイム・フレキシブルタイムを設ける場合にはその開始・終了時刻です。
 清算期間とは、フレックスタイム制の下、労働者が労働すべき時間を定める期間をいいます。その長さは3カ月以内とし、その間の上記③の総労働時間を定めます。1カ月を超える期間を清算期間とする場合は、その開始日以後1カ月ごとに区分した期間ごとに、その各期間を平均して1週間当たりの労働時間が50時間を超えない範囲内で労働させることができます。この総労働時間がフレックスタイム制における所定労働時間であり、清算期間を単位として定められます。
 コアタイムとは労働者が労働しなければならない時間帯を、フレキシブルタイムとは労働者がその選択により労働することができる時間帯をいいます。

通常とは異なる時間外労働に関する取り扱い

 フレックスタイム制では、労働者が日々の労働時間を自ら決定することとなるため、1日8時間・1週40時間の法定労働時間を超えて労働しても、ただちに時間外労働とはなりません。逆に、標準となる1日の労働時間に達しない時間も欠勤となるわけではありません。
 時間外労働となるのは、清算期間における実際の労働時間のうち、清算期間における法定労働時間の総枠を超えた時間数です。

フレックスタイム制の例

法定時間外労働となる時間

●清算期間が1カ月以内の場合
清算期間における実労働時間数のうち、法定労働時間の総枠を超えた時間が法定時間外労働となる

清算期間における実労働時間数-週の法定労働時間× 清算期間における暦日数
7

●清算期間が1カ月を超え3カ月以内の場合
以下の①②がそれぞれ時間外労働として計算される

①1カ月ごとに、週平均50時間を超えた労働時間

②①で計算した時間を除き、清算期間を通じて法定労働時間の総枠を超えて労働した時間

清算期間を通じて法定労働時間の総枠を超えて労働した時間 清算期間を通じた実労働時間 各月において、週平均50時間超過分として清算した時間外労働の合計 清算期間における法定労働時間の総枠

この解説は『初任者・職場管理者のための労働基準法の本 第4版』より抜粋しました。労務行政研究所:編 A5判 192頁 2,035円
(URL:https://www.rosei.jp/store/book/9123
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