2022年02月01日掲載

労働基準法の基礎知識 - 事業場外労働のみなし労働時間制

 この制度の対象となるのは、事業場外で働き、かつ、使用者の具体的な指揮監督が及ばず、労働時間を算定することが困難な業務です。1日の労働時間の全部を事業場外で働く場合だけではなく、1日の労働時間のうち一部を事業場外で働く場合も適用されます。

労働したものとみなす

 労働時間の全部または一部について事業場外で働いた場合で労働時間を算定し難いときは、原則、所定労働時間労働したものとみなします。しかしながら、業務を遂行するためには通常所定労働時間を超えて労働することが必要な場合には、業務の遂行に通常必要とされる時間労働したものとみなすことになります。

業務の遂行に通常必要とされる時間

 「業務の遂行に通常必要とされる時間」とは、通常その業務を遂行するために客観的に必要とされる時間です。たとえば、労働時間の全部を事業場外で従事し、この事業場外での業務に対して通常客観的に必要とされる時間が8時間である場合には、その日は8時間働いたものとみなします。
 この「通常必要とされる時間」について労使協定があるときは、「その協定で定める時間」がその仕事を行うために通常必要とされる時間となります。
 なお、事業場外で働く労働者に裁量の幅があるとしても、休憩時間を取れるよう必要な措置は講じておかなければなりません。

●事業場の内外で働いた時間が所定労働時間を超えるとき
 事業場内で働いた時間と事業場外で働いた「業務の遂行に通常必要とされる時間」とを加えた時間が所定労働時間よりも長い場合、たとえば、所定労働時間が8時間、事業場外における「業務の遂行に通常必要とされる時間」が6時間である場合において、事業場内での労働時間が3時間であるとすると、6+3=9時間働いたこととなります。

事業場外のみなし労働時間

「業務の遂行に通常必要とされる時間」とは

この解説は『初任者・職場管理者のための労働基準法の本 第4版』より抜粋しました。労務行政研究所:編 A5判 192頁 2,035円
(URL:https://www.rosei.jp/store/book/9123
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