河本 薫 著
滋賀大学データサイエンス学部教授/元 大阪ガス ビジネスアナリシスセンター 所長
A5判/184ページ/定価1600円+税/ダイヤモンド社
滋賀大学データサイエンス学部教授/元 大阪ガス ビジネスアナリシスセンター 所長
A5判/184ページ/定価1600円+税/ダイヤモンド社
BOOK REVIEW ―人事パーソンへオススメの新刊
■ 「データ分析」や「AI」という言葉を近年よく耳にすると感じる人は多いだろう。人事領域でも「ピープルアナリティクス」が注目を集めている。しかし、実際にデータ分析をしてみても、それを実務に活かすこと(現場で活用されるようにすること)ができなければ、それは無意味なものとなってしまいかねない。こうした課題に対し、著者は、「意思決定」をキーワードとして挙げ、分析結果が現場の意思決定に活用されるように「意思決定プロセスを設計する」ことが重要であると説く。
■ 1章では、データ分析をビジネスの成功につなげるためのフレームワークを紹介する。問題を解消するためにデータ分析で何を"解く"かという思考の流れを4段階で整理し、データ分析をビジネスに"役立てる"ための考え方を示していく。続く2章では、「データドリブンな意思決定プロセスを設計するための型」として、意思決定プロセスを六つに類型化(①反復選択型、②体制選択型、③原因特定型、④計画策定型、⑤仮説試行型、⑥経営判断型)し、それぞれ事例を用いながら解説を行う。組織の性質や向き合うべき問題によっていずれの類型が適合するかは異なるが、実務上のさまざまな場面で活用できるものとなっている。
■ 最終3章は、データドリブンな企業への変革がテーマである。企業の変革を阻む三つの壁(人材の壁、部門の壁、経営の壁)と社員の心理的な壁を挙げ、その壁を乗り越えるために必要な行動について、著者のアイデアがまとめられている。本書で書かれているのは、データドリブン思考を身につけるための意思決定プロセスの設計方法であり、仕事でデータ分析に携わっている方に役立つのはもちろん、「変革を阻む三つの壁」「社員の心理的な壁」を突き崩す役割を果たすべき人事担当者にも、ぜひ読んでいただきたい一冊である。
データ分析・AIを実務に活かす データドリブン思考 内容紹介 最先端を行くマネジメント誌『DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー』で完売した2019年6月号「データドリブン経営」特集の注目論文、「現場の能力を引き出すデータ分析の6つの型」大幅加筆の上、ついに書籍化! いくらデータ収集のシステムや優秀なAIの専門家を入れても、それだけではビジネスには勝てない。 国内のデータサイエンティストとして草分け的存在であり、大阪ガスのデータ分析専門組織を率いた筆者。現在は滋賀大学データサイエンス学部で教鞭をとり、約25年かけてたどり着いたデータドリブン思考の重要性を示す。 |