2022年02月10日掲載

BOOK REVIEW - 『Unlearn(アンラーン) 人生100年時代の新しい「学び」』

柳川範之、為末 大 著
四六判/256ページ/1600円+税/日経BP 


BOOK REVIEW 
人事パーソンへオススメの新刊

 「人生100年時代」「定年延長」「加速する技術革新」…。生涯を通じて学び続ける必要性が高まる現代において、一般的に重視されるのは"いかにインプットの量を増やすか"という視点である。しかし本書が説くのは"Unlearn(アンラーン)"の重要性だ。アンラーンとは、学びの否定でもなく、知識や経験を捨て去ってゼロにすることでもない。「思考のクセ」を取り払うことで、柔軟な発想や新しい成長の助けとなる技術を指し、キャリアチェンジの際には不可欠な考え方として注目を集めている。

 第1章でアンラーンの概要を説明した後、第2章では「無意識にやっていることを洗い出す」「専門外・業界外の人と話す」といった具体的なチェックポイントを挙げ、固定化した思考を解きほぐしながらアンラーンを実践していける構成となっている。"価値観を180度転換することを求める"といった大仰なものではなく、日々の小さな実践の積み重ねによりマインドは変わっていくと著者はいう。誰にとっても取り組みやすい手法といえるだろう。

 第3章ではさらに、「今あるものを手放したくない」など、アンラーンを阻む"壁"とその乗り越え方を丁寧に紹介していく。そして最終章では、アンラーンを今後の人生とキャリアの武器にする方法について論じている。近年では、めまぐるしく環境が変化する中で、従来の手法や成功体験が通用しなくなる場面が増えている。例えば社内研修などにおいて、アンラーンの考え方は、大いに取り入れる価値があるものだろう。社員一人ひとり、そして会社そのものが成長し続けていくためのヒントとして、本書の知見をぜひ生かしてほしい。

 



Unlearn(アンラーン) 人生100年時代の新しい「学び」

内容紹介

過去の学びや蓄積を最大限に活かす新しい成長の技術
アンラーンとは、「学ばない」ことではありません。過去の学びから、クセやパターン、思い込みをなくすことで、新たに成長し続けられる状態に自分を整える技術です。以下の項目に一つでも当てはまる人は、アンラーンで「学びの効率」が上がります。
□何かをしない言い訳に「(仕事が)忙しくて」とつい言ってしまう
□自己紹介では会社名や肩書を入れるのが当たり前
□最近、ワクワクすることが減った
□「疲れた」などの、ネガティブな口グセがある
□周囲の人との会話が、毎日同じような話題ばかり
□仕事とは別の分野の「学び」をしていない
□この1カ月で、仕事関係者以外の人と会った人数が3人以下
□「以前はこうだった」「こういうときはこうするものだよ」と前例で説明したくなる