ケイティ・アンダーソン 著
狩野玲子 訳
四六判/344ページ/定価1780円+税/株式会社クロスメディア・パブリッシング
狩野玲子 訳
四六判/344ページ/定価1780円+税/株式会社クロスメディア・パブリッシング
BOOK REVIEW ―人事パーソンへオススメの新刊
■ 「トヨタのたった一つの秘密は、学ぶことへの姿勢です」――。本書は、1966年から40年にわたってトヨタ自動車で勤務した吉野勇夫氏と、米国出身のリーダーシップ・コーチ、コンサルタントである著者との2年以上に及ぶ対話から、トヨタのリーダーシップ教育の要諦を明らかにする1冊だ。吉野氏は、1979~80年に実施された同社のシニアリーダー向けトレーニング「管プロ」や、トヨタとゼネラルモーターズの合弁会社における教育プログラム策定に携わる一方、自身もリーダーとしてさまざまなビジネスに携わってきた人物である。
■ トヨタの学びの文化は、チーム一人ひとりの役割や可能性を最大限にし、成長し学べるようサポートする「人間尊重のリーダー」たちが具現化してきたという。第1章では、吉野氏が若手時代に共に働いたリーダーたちの姿から、「リーダーシップは現場から始まる」「学び続け、好奇心を持って質問する」など、八つのレッスンを紹介する。第2章と第3章では、吉野氏が管理職となった後、2006年の退職までに携わった五つの仕事から、日本や米国のチームを自ら導く中で得た学びを、ケース・スタディ等を通してひもといていく。
■ 本書は、「カイゼン」に代表される生産方式に焦点を当てた書籍と異なり、トヨタのリーダーたちが受け継いできた「学び」の企業文化を軸に人材マネジメントにフォーカスしている点がユニークだ。現在リーダーの立場にいる方、近々リーダーとなる方はもちろん、自分たちの組織に「学ぶ文化」を作りたい研修部門の担当者にも手に取ってもらいたい。各レッスンやケース・スタディ等の終わりには「振り返りのための質問」がついているので、トヨタのリーダーたちと自らの生き方や仕事を照らし合わせることで、より深い学びとなるだろう。
トヨタのリーダーシップレッスン 内容紹介 世界最強企業、トヨタ自動車のリーダーシップ教育はどのように行われているのか?「トヨタにたった一つの秘密があるとすれば、それは、学ぶという姿勢です」 昨今、職場で「心理的安全性」が注目されるように、マネジメントにおいても「人間性尊重」が不可欠となっています。 背景には、コロナ禍によりリモートワークが加速するなど、働く環境に急激に変化がもたらされています。こうした状況で必要とされる「人間性尊重」のマネジメントを長きに渡り、すでに実践している会社がトヨタです。 本書は国際的に活躍する米国人リーダーシップ・コーチ、ケイティ・アンダーソンがトヨタ勤続40年のリーダー・吉野さんに2年以上の長期にわたるヒアリングとレビューを行い、書き下ろしたものです。 吉野さんの体験をケイティが「八つのレッスン」「四つのケース・スタディ」にまとめ、さらに「挫折した水上スキーボート事業」まで詳細に聞き取り、リーダーシップを体験的に振り返り学べる書籍となりました。 |