2022年03月11日掲載

採用担当者のための最新情報&実務チェックポイント - 2022年3月


ProFuture株式会社/HR総研
代表 寺澤康介
(調査・編集: 主席研究員 松岡 仁)

 ProFuture代表の寺澤です。
 3月1日、政府主導の就活ルールでも会社説明会が正式に解禁となったほか、各就職ナビも2023年卒向けの採用情報の掲載とプレエントリーの受付を開始しました。といっても、プレエントリー先は事前に登録(予約)が済んでいますので、日付が変わるとともに、学生が一斉に就職ナビに殺到する姿はなくなりました。そのため、深夜に就職ナビにつながりづらくなるような現象は、ここ何年か遭遇することはなくなっていました。
 ただ今年は、就職ナビ側の設定ミスにより、オープン直後に一部企業へプレエントリーができない事象が発生したほか、朝から昼過ぎにかけてはアクセス過多により、サイトが高負荷状態になってしまい、学生・企業ともにサービスを利用できない状態が続いたところもあるようです。高負荷の原因は発表されていませんが、かつてのようにプレエントリーのためにアクセスが集中したというよりも、オンライン会社説明会の視聴に学生が殺到したためなのでしょうかね。

「ターゲット層の変化」の要因は「事業変革に伴う人材要件の変化」が最多

 さて、今回も前回に引き続き、HR総研が2021年12月に企業の採用担当者を対象に実施した「2022年&2023年新卒採用活動動向調査」の結果を見ていきたいと思います。
 まずは、社会情勢や企業を取り巻く環境が目まぐるしく変化する中で、「ターゲット層となる学生の条件に変化が出てきているか」という設問に対する回答結果からです[図表1]。全体では、「大きく変化してきている」4%、「やや変化してきている」23%を合計した26%の企業が「変化してきている」(以下同じ)と回答しているものの、「まったく変化していない」が10%、「あまり変化していない」42%、合計すると52%と過半数の企業が「変化していない」(以下同じ)と回答しており、「変化してきている」の2倍となっています。

[図表1]ターゲット層となる学生の条件の変化

資料出所:HR総研「2022年&2023年新卒採用活動動向調査」(2021年12月)

 企業規模別に見ると、すべての企業規模において「あまり変化していない」が最も多く、1001名以上の大企業では44%、301~1000名の中堅企業では48%、300名以下の中小企業では39%となっています。「変化していない」とする企業は企業規模が小さくなるほど多くなっており、大企業が47%と半数を下回っているのに対して、中堅企業で53%、中小企業では55%となっています。中小企業では「まったく変化していない」が16%と、他の規模の企業よりも10ポイント以上多くなっているのが目を引きます。
 大企業と中堅企業では「変化してきている」とする割合は32~33%と同程度ですが、中小企業では20%と、大企業や中堅企業に比べるとターゲット層の変化の動きは強くないことがうかがえます。中小企業では、ターゲット層がどうかということよりも、そもそも採用自体に苦戦している企業が多いということも影響しているのではないかと推測されます。

 次に、ターゲット層が「変化してきている」と回答した企業に対して、変化してきている主な要因を聞いた結果が[図表2]です。グラフは「全体」の数値の降順で並べてあります。最も多かったのは「事業変革に伴う人材要件の変更」で46%、次いで「入社後のミスマッチ防止対策」32%となっており、「DX推進等による理系人材のニーズ増加」と「オンライン採用による地域間格差の解消」がともに17%、「ダイバーシティ推進による多様性重視」が14%となっています。

[図表2]ターゲット層が変化してきている主な要因(複数回答)

 DXをはじめとした事業変革を推進する中で、自社の事業変革に必要な人材要件を描いた結果、ターゲット層がこれまでと異なることになっている企業が多いと思われます。また、学生の能力だけでなく価値観や人間性も十分に考慮することで、自社の価値観に共感しているかなど自社との相性を見極め、ミスマッチの防止を図ろうとした結果、ターゲット層が変化している企業も少なくないのでしょう。
 企業規模別に見ると、幾つか回答の差異が見受けられます。大企業では、全体とほぼ同様の傾向となっていますが、「ダイバーシティ推進による多様性重視」が17%で、「オンライン採用による地域間格差の解消」の11%を上回る結果となっています。中堅企業では、「事業変革に伴う人材要件の変更」が60%と突出しており、「入社後のミスマッチ防止対策」は15%にとどまり、代わりに「オンライン採用による地域間格差の解消」が20%で2位になっています。中小企業では、「事業変革に伴う人材要件の変更」も41%と多いものの、「入社後のミスマッチ防止対策」が44%でそれをさらに上回り、最多となっています。中小企業では、もともと採用数が少ない中でのミスマッチによる離職リスクを重く見て、防止対策に力を入れる企業が多いことが推測されます。

大学ルートの重要度が低下する大企業

 では、ターゲット層を採用するために実施・検討している施策は何かを聞いたところ、全体で最も多かったのは「インターンシップの活用」で38%、次いで「キャリアセンター・就職部訪問」31%、「大学主催の学内セミナー」25%などと続きます[図表3]。ターゲット層の所属する大学ルートの活用は、ほかにも「研究室訪問」(17%)があります。

[図表3]ターゲット層を採用するために実施・検討している施策(複数回答)

 ただ、企業規模別に見ると、「インターンシップの活用」はすべての企業規模で高い反面、「キャリアセンター・就職部訪問」と「大学主催の学内セミナー」は中堅・中小企業では3割前後と高いものの、大企業ではそれぞれ18%、15%とそれほど高くなく、「先輩・リクルーターの活用」(26%)、「リファラル採用」(21%)がそれを上回ります。「研究室訪問」についても、中堅企業の24%に対して大企業は12%にとどまっています。
 トヨタ自動車のように推薦応募廃止を宣言するまでの企業はあまり出ていないものの、これまでのように大学からの推薦に依存せず、ターゲットとなる学生を自由応募から十分採用できる環境になってきているのでしょう。大企業では大学ルートの活用は、かつてほどの重点施策ではなくなってきていることがうかがえます。中堅企業では、「逆求人サイト」が33%と、大企業・中小企業(15%)の2倍以上となっている点が注目されます。

セミナー・説明会は中小企業もオンラインが主軸

 ここからは具体的な採用活動の状況について見ていきましょう。まずは「個別企業セミナー・説明会の開催時期」を見ると、大企業では「2021年12月」ごろまでは2割前後の水準が続き、年明けから増え始め、政府主導の就活ルールでも採用広報が解禁となる「2022年3月」がピークで47%となり、「2022年4月」も38%と4割近くが開催予定となっています[図表4]

[図表4]個別企業セミナー・説明会の開催時期(複数回答)

 ただ、「2022年5月」「2022年6月」になると2割強に減少し、「2022年7月以降」に開催予定の企業は12%にとどまります。中堅企業では、「2021年11月」ごろまで2割前後で推移し、「2021年12月」から増え始め、「2022年2月」には55%と過半数に達しています。そして、大企業と同じく「2022年3月」にはピークを迎え、74%と4社に3社が実施する予定となっています。「2022年4月」も60%と高くなっていますが、「2022年5月」41%、「2022年6月」31%と減少し、「2022年7月以降」は3割もありません。
 中小企業では、「セミナー・説明会は開催しない」が最も多く36%となる一方、開催する企業で最も多い開催月は、やはり大企業・中堅企業と同様に「2022年3月」で32%となっています。「2021年7月」から「2021年10月」までは企業規模による差異はあまり見られませんが、大企業・中堅企業で実施割合が増えてくる「2021年11月」以降も中小企業ではあまり変動が見られず、「2022年2月」から「2022年4月」では中堅企業と40ポイント前後もの開きが生じています。開催時期の分散具合は、企業規模別によってかなり異なる傾向がうかがえます。

 次に、「個別企業セミナー・説明会の開催形式」を見ると、全体では「オンライン形式を主軸に対面形式でも一部実施」が36%で最多、次いで「対面形式を主軸にオンライン形式でも一部実施」と「オンライン形式のみで実施」がともに26%の同数で並び、「対面形式のみで実施」はわずか5%となっています[図表5]

[図表5]個別企業セミナー・説明会の形式

 企業規模別に見ると、大企業と中堅企業では「対面形式のみで実施」とする企業はなく、大企業では「オンライン形式を主軸に対面形式でも一部実施」が最多で46%と半数近くに上り、「オンライン形式のみで実施」が29%となり、これらを合計した「オンライン形式主体で実施」(以下同じ)が75%と4分の3を占めています。中堅企業では「オンライン形式主体で実施」の割合が59%と6割を占め、大企業と同様にオンライン型での開催が主流となっているものの、「対面形式を主軸にオンライン形式でも一部実施」は36%と3分の1を超え、大企業とは10ポイント以上多くなっています。
 一方、中小企業では「対面形式のみで実施」の割合が13%あるものの、「対面形式を主軸にオンライン形式でも一部実施」は19%にとどまり、両方を合計した31%が「対面形式を主体として実施」という意向を示していますが、これは中堅企業よりも5ポイント低い割合となります。「オンライン形式主体で実施」の割合は56%と過半数となり、大企業と中堅企業に並んで、中小企業でもオンライン型での開催が多数派となっています。

面接では説明会以上に「対面形式」の割合が上昇

 続いて、「選考面接の開始(予定)時期」を見てみましょう。大企業では、「2022年3月」と「2022年4月」がピークで24%となり、その次に「2022年1月」が15%で多くなっています[図表6]。「2021年6月以前」が9%で他の企業規模よりも多くなるなど、2021年内までに開始した割合は18%と2割近くとなっています。

[図表6]選考面接の開始(予定)時期

 中堅企業では、「2022年1月」「2022年3月」「2022年4月」がいずれも14%で並び、「2022年2月」が24%で最も多くなっています。年内に開始した割合は大企業と同程度の17%です。中小企業では、「2021年6月以前」と「2021年7月」がともに7%となるなど、年内に開始した企業が19%と大企業や中堅企業よりもわずかながら多くなっており、一部のベンチャー企業等が通年採用や早期採用をしている影響があると推測されます。また、「2022年3月」20%、「2022年4月」13%と最初のピークを迎えるものの、「2022年7月以降」とする割合も20%あり、選考開始時期については早期派と中期派、さらには後期派に分散している傾向が見られます。

 次に、「面接選考の実施形式」を見ると、全体では、「オンライン形式を主軸に対面形式でも一部実施」が34%、「対面形式を主軸にオンライン形式でも一部実施」が33%で拮抗し、「対面形式のみで実施」が14%、「オンライン形式のみで実施」は8%と少数派となっています[図表7]

[図表7]実施する面接の形式

 「対面形式のみで実施」と「対面形式を主軸にオンライン形式でも一部実施」を合計した「対面形式主体で実施」の46%に対して、「オンライン形式のみで実施」と「オンライン形式を主軸に対面形式でも一部実施」を合計した「オンライン形式主体で実施」は42%、わずかに「対面形式主体で実施」のほうが多くなっています。
 企業規模別に見ると、大企業では「対面形式のみで実施」はわずか3%にとどまり、ほぼすべての企業でオンライン形式を取り入れていることが分かります。また、「オンライン形式を主軸に対面形式でも一部実施」が44%で最も多く、「オンライン形式のみで実施」の6%と合わせると50%となり、「検討中」の企業が15%あることを考えると、半数以上が「オンライン形式主体で実施」で面接選考を行うことを予定しています。
 中堅企業でも「対面形式のみで実施」は7%と少なく、大企業とほぼ同等に9割の企業がオンライン型を採り入れていることになります。ただ、「対面形式を主軸にオンライン形式でも一部実施」が45%と最も多く、「対面形式主体で実施」は52%となり、「オンライン形式主体で実施」の45%を上回ります。
 中小企業では「対面形式のみで実施」が23%と2割を超え、オンライン形式を活用しながら面接選考の実施を予定している企業は6割程度にとどまります。また、「オンライン形式主体で実施」の36%に対して、「対面形式主体で実施」は48%に及び、中堅企業以上に「対面形式主体で実施」の割合が多いことが分かります。
 ただし、前述した個別セミナー・説明会の開催形式と比較すると、「対面形式を主体として実施」の割合が上昇しており、大企業では25%→35%、中小企業では31%→48%、中堅企業に至っては36%→52%と過半数に上っています。個別セミナーや説明会については、あらかじめ開催形式を確定しておく必要がありますが、面接、特に最終面接については新型コロナの感染状況によって判断していく部分が大きいと思われます。
 過去2年間、オンライン形式での面接選考を経験して、人物評価についてはある程度手応えを感じられるようになったものの、動機形成や学生との関係構築などの"グリップ力"までを含めて考えた場合には、オンライン形式の限界を感じており、可能な環境であれば対面形式でも実施したいと考えている企業は少なくないはずです。

大企業で多い「グループ面接」「グループディスカッション」

 今度は、「実施する面接の形態」について見てみましょう。まず企業規模別では、すべての規模において「個人面接」をほとんどの企業で実施することが分かります[図表8]

[図表8]実施する面接の形態(複数回答)

 ただ、「ほとんど」とは「すべて」ではないということです。大企業の9%、中小企業の3%では「個人面接」を実施しないとしています。私としては、そちらのほうが気になってしまいます。
 なお、2020年10月にHR総研が実施した「2021年&2022年新卒採用動向調査」の結果を振り返ってみたところ、「個人面接」の実施割合は中堅企業では100%であるものの、大企業93%、中小企業96%となっており、今回と同様の傾向が確認できました。これらの企業では、最終面接も「グループ面接」などで実施されているということなのでしょうか。
 「個人面接」以外の形態での実施意向を見ると、次は「グループ面接」が多く、大企業では44%、中堅企業で26%、中小企業で13%となっています。大企業では「グループディスカッション」も24%と比較的多くなっています。上記の2020年10月調査における「2022年卒の面接選考の実施形態」の結果では、大企業の「グループ面接」「グループディスカッション」の割合はいずれも14%にとどまっていたのに対して、2023年卒では実施する割合が大きく上昇していることになります。
 2021年卒採用からいち早くオンライン面接に踏み切った大企業においても、オンラインに不慣れな学生を集めての「グループ面接」の運営に不安を感じ、2022年卒採用ではまだ実施割合が低いままになっていたことが推測されます。一方、2023年卒採用では人事担当者も学生もオンライン慣れしてきたこともあり、オンライン形式においても人材の見極めに必要な実施形態を選択できる体制を整えられた企業が多くなってきたと考えられます。

中堅企業の3割は内定出し開始時期を前倒し

 「内定(内々定)出しの開始時期」については、大企業では「2022年4月」が32%と、「2022年3月」の6%と比較して格段に高くなり、明確なピークを迎えます。「2022年4月」までに開始する割合は77%と8割近くに上っています[図表9]

[図表9]内定(内々定)出しの開始時期

 中堅企業も大企業と同じく「2022年4月」が26%でピークを迎えますが、大企業と違って「2022年3月」も21%と高い割合になっています。「2022年4月」までに内定出しを開始する割合は79%と同じく8割程度となっています。
 一方、中小企業では「2022年7月以降」が25%で最も多く、大企業や中堅企業より遅い時期を予定している企業が多くなっています。これは、大企業や中堅企業の選考や内定出しのタイミングと被らないように、あえて後ろ倒しにする、例年と同様の構図となっています。ただし、「2022年4月」も21%あるとともに、「2021年6月以前」は大企業や中堅企業よりやや多い12%となっており、選考開始時期でも見られたように、それに連動して内定出しの開始時期も分散していることがうかがえます。

 「内定(内々定)出し開始時期の前年比較」を見ると、全体では「ほとんど変わらない」が圧倒的に多く84%、「1カ月超早まる」が9%、「2週間超~1カ月早まる」が3%などとなっており、大多数は前年と同時期での内定出しを計画していることがうかがえます[図表10]。「早まる派」(「1カ月超早まる」~「1週間以内早まる」の割合の合計)は14%、「遅くなる派」(「1週間以内遅くなる」~「1カ月超遅くなる」の割合の合計)は2%となり、「早まる派」のほうが多くなっています。企業の採用意欲の回復とともに、新型コロナ感染状況がどうなるか見通せない中で、できるだけ早めに活動しておこうという思いが企業側にあるものと推測されます。

[図表10]内定(内々定)出し開始時期の前年比較

 企業規模別に見ると、大企業では「ほとんど変わらない」が94%と大半を占め、残りは「1カ月超早まる」が6%となっています。「早まる派」が最も多かったのは中堅企業で、「1カ月超早まる」の17%を筆頭に、「早まる派」は27%と3割近くにも及びます。内定出し開始時期を「2022年3月」とする割合が他の企業規模よりも突出している点にも、それが表れているものと考えられます。早めに内定出しを行い、内定者を囲い込んだ上で後から動機形成に注力しようということなのかもしれません。

ターゲット層に変化がある企業の3割がジョブ型採用導入

 導入企業が徐々に増えつつある「ジョブ型雇用」ですが、企業への入り口である新卒採用においては、企業はどのような意向を持っているのでしょうか。「2023年新卒採用でのジョブ型(職種別)採用の導入意向」を聞いてみたところ、全体では「導入する」が19%と2割近くになったものの、企業規模による違いも鮮明に表れています[図表11]

[図表11]2023年卒採用でのジョブ型(職種別)採用の導入意向

 大企業では「導入する」が26%で、「導入しない」が56%とまだ過半数を占めています。企業規模が小さくなるほど「導入する」の割合は低下し、中堅企業では21%、中小企業では13%と、大企業の半分の割合となっています。そもそも「ジョブ型雇用」導入の動き自体が、まずは管理職から導入して運用をスタートさせてみて、ある程度軌道に乗ったところで非管理職にも拡大していくのが一般的な流れとなっており、新卒採用での導入が進むにはまだまだ時間がかかるものと思われます。
 次に、企業規模ではなく、前掲[図表1]で挙げた「ターゲット層となる学生の条件に変化が出てきているか」という視点で、ターゲット層の変化の有無別にジョブ型採用の導入状況を見てみましょう[図表12]

[図表12]2023年卒採用でのジョブ型(職種別)採用の導入意向
〈ターゲット層の変化の有無別〉

[注][図表1]に示した「ターゲット層となる学生の条件」の回答別に割合を見たもの。なお、「変化してきている」は「大きく変化してきている」と「やや変化してきている」、「変化していない」は「あまり変化していない」と「まったく変化していない」の合計をそれぞれ母数としたもの。

 「導入する」の割合は、「変化していない」の15%、「どちらとも言えない」の16%に対して、「変化してきている」では28%となっており、ターゲット層が変化している企業ほど、ジョブ型採用を導入する割合が高いことがうかがえます。ターゲット層の変化の要因として「事業変革に伴う人材要件の変更」が最も多く挙がっているとおり、自社が推進する事業に必要な能力やスキルを持つ人材を、ジョブ型採用で獲得しようとしていることが推測されます。

売り手市場への移行や採用単価の上昇を心配する声

 最後に、「2023年新卒採用で変化すると思われること」として寄せられた採用担当者のフリーコメントを紹介します。参考にしてください。

・ミスマッチの増加(1,001名以上、メーカー)

・1人当たりの採用単価の上昇(1001名以上、サービス)

・一気に売り手市場に移行するだろう(301~1000名、サービス)

・JTB、日本航空をはじめ、就活人気ランキング常連の巨人たちが新卒採用を再開することが象徴的だが、競争がまた激化すると思っている(301~1000名、商社・流通)

・ジョブ型採用や特別枠(初任給の格差をつける)の採用がさらに増えてくる(301~1000名、メーカー)

・解禁時期の形骸化がより進む(301~1000名、情報・通信)

・学生が企業における勤務形態(テレワーク率など)による選別をしていく(300名以下、情報・通信)

・情報システム業界は、実務経験1~2年で転職を繰り返したほうが収入が格段に上がるため、育成投資を回収しきれないまま社員が流出してしまうことが多く、今後もこういった傾向は変わらない、もしくは悪化すると考えています(300名以下、情報・通信)

・学生時代のエピソード不足が起こる(300名以下、サービス)

・就職ナビサイトを使用する学生が減る(300名以下、サービス)

・時代の流れに柔軟に対応できる企業体制であるかという点を見られていくと考えます(300名以下、サービス)

・内々定早期化傾向、対面比率向上(昨年比)(300名以下、メーカー)

・新卒採用の必要性を再検討し、新卒よりも第二新卒(社会人経験あり)の採用を強化するかもしれない(300名以下、メーカー)

・オンラインの活用形態がどんどん洗練、多様化するのではないかと予想します(300名以下、メーカー)

・学生が強気になる(300名以下、マスコミ・コンサル)

寺澤 康介 てらざわ こうすけ
ProFuture株式会社 代表取締役/HR総研 所長
86年慶應義塾大学文学部卒業、文化放送ブレーンに入社。営業部長、企画制作部長などを歴任。2001年文化放送キャリアパートナーズを共同設立。07年採用プロドットコム(ProFuture)を設立、代表取締役に就任。約25年間、大企業から中堅・中小企業まで幅広く採用コンサルティングを行ってきた経験を持つ。
著書に『みんなで変える日本の新卒採用・就職』(HRプロ)。
http://www.hrpro.co.jp/