尾形真実哉 著
甲南大学経営学部教授
四六判/240ページ/1700円+税/アルク
甲南大学経営学部教授
四六判/240ページ/1700円+税/アルク
BOOK REVIEW ―人事パーソンへオススメの新刊
■ これからの日本社会は転職が当たり前となり、複数の会社でキャリアを重ねる働き方が一般的になると言われている。そうすると、職場には常に新しい人が入ってくる。――こうした状況では、新入社員や転職入社者本人の「組織に適応する力」はもちろんのこと、会社側が「組織になじませる力」を有していることも重要だ。本書は、組織行動論などを専門とする研究者である著者が、新卒あるいは中途で採用した新入社員の定着と活躍を促す仕組みや制度を具体的に解説したものである。
■ 全8章で構成され、第1章では、会社に新しく加わった個人をなじませて一人前にしていくプロセスである「オンボーディング」の概要について説明。第2~3章で新卒採用者、続く第4~5章で中途採用者、そして第6~7章では両者に共通する課題を取り上げている。例えば、新卒採用者においては、"高い期待"と"実際の職務での失望させるような経験"との衝突である「リアリティ・ショック」の克服が鍵になる。一方、中途採用者では、「暗黙のルールの理解」や「アンラーニング」「中途意識の排除」など、組織への再適応課題を幅広く挙げている。
■ 効果的なオンボーディングのためには、新入社員を取り巻く環境に働きかけることが重要だと著者は説く。そこで人事部には、説得力のある根拠を示しながら、受け入れ側である現場の納得感を高めることが求められる。「入社後に数日間の研修を行ったあとはOJTで現場任せ」といった企業も多いかもしれないが、本書で紹介されている数々の仕組みを取り入れることで、新入社員の力をさらに発揮できる環境づくりが可能になるだろう。
内容紹介 労働市場が流動化し、転職が当たり前の社会になりました。 |