石山恒貴、伊達洋駆 著
法政大学大学院政策創造研究科教授、ビジネスリサーチラボ代表取締役
A5判/256ページ/1800円+税/日本能率協会マネジメントセンター
法政大学大学院政策創造研究科教授、ビジネスリサーチラボ代表取締役
A5判/256ページ/1800円+税/日本能率協会マネジメントセンター
BOOK REVIEW ―人事パーソンへオススメの新刊
■ 「越境学習」という言葉を聞いたことがあるだろうか。一般的には、社会人が職場以外の場に身を置くことによる学び全般を指し、近年注目を集めている。例えば、職場を離れて留学したり、ベンチャー企業やNPO法人で働いたりするケースが典型的な例だが、副業やボランティアなどに携わることも越境学習の一種と言える。本書においては、越境学習を「ホームとアウェイを往復する(行き来する)ことによる学び」と定義し、越境学習とは何か、どのような効果を個人・組織にもたらすのかを、体系立てて解説する。
■ 第1章は導入部として、越境学習の基本的な知識や、学問的な成り立ちなどを整理し、続く第2章では、なぜ今越境学習が注目されているのか、その背景を紐解く。第3章では「越境前」「越境中」「越境後」というプロセスを経て、越境学習者がどのような学びを得るのかを、越境学習に関する調査等から得た知見をもとに可視化していく。第4章では企業側の視点から、「越境の学び」を人材育成の一部にどう位置づけ、取り入れていくことができるのか、そこで得た経験や力をどのように組織に生かせるかを解説する。さらに、第5章は「ケーススタディ」として、越境学習プログラムに参加した20~30代のビジネスパーソン4人のリアルな事例を紹介する。
■ 著者らは、越境学習によって"冒険する力"が得られると指摘する。そして、冒険の効果は個人だけでなく、組織やコミュニティにも変化をもたらすのだという。「変革」「イノベーション」が求められる今、アウェイに飛び込み冒険する力は、企業や組織の原動力ともなるはずだ。冒険ができる人(冒険人材)の実情に迫り、越境学習に関する研究知見を分かりやすくまとめた本書は、まさに入門書として最適な一冊である。
内容紹介 越境学習とは、個人にとって居心地のよい慣れた場所であるホームと、居心地が悪く慣れない場所だがその分刺激に満ちているアウェイとを往還する(行き来する)ことによる学びです。越境学習者は、アウェイで違和感を抱き、葛藤や無力感、もどかしさを味わいますが、それを乗り越えた結果、前提を疑い、不確実な状態に耐えられようになります。 |