2022年04月08日掲載

BOOK REVIEW - 『場をつくる チーム力を上げるリーダーの新しいカタチ』

広江朋紀 著
株式会社リンクイベントプロデュース 組織開発コンサルタント/ファシリテーター 
A5判/200ページ/1800円+税/明日香出版社 


BOOK REVIEW 
人事パーソンへオススメの新刊

 破壊的な変化が当たり前となった現代では、「ファシリテーター型リーダーシップ」が必要だと著者は説く。これは、リーダーが1人で率先するリーダーシップではなく、メンバーの力を引き出して、組織・チームが協働しながら課題の解決に向かっていくよう支援・促進するリーダーシップのスタイルを指す。本書は、組織開発の専門家として約20年、延べ5万人に対し1万5000時間を超える研修やワークショップを実施してきた著者が、ファシリテーター型リーダーシップに必要な「場のつくり方」を解説した書籍である。

 本書では、五つのSTEPから成る場づくりサイクルが紹介される。前提となるSTEP0では、場づくりサイクルを実行するための土台となる「心理的安全性」の確保方法を見ていく。そして、STEP1からSTEP4まではそれぞれ「拡散」「混沌」「収束」「実装」と呼ばれる段階で、章ごとに各STEPの内容を詳細に取り上げ、適切な場づくりを行うための技術や、成功を妨げる「罠」への対処法を紹介している。一例として、アイデアを絞り込む「収束」の前には、"産みの苦しみ"を意味する「混沌」の段階がある。ここでは、さまざまな意見がぶつかる混沌を避けて、予定調和に逃げてしまう"回避の罠"が存在するという。この罠にはまらないためには、混沌の場に遭遇したときにはあえてコントロールをいったん手放し、その場で起こる意外な反応などにも好奇心を向けてみることが必要だとしている。

 リーダー養成のために、管理職向けの研修を実施している企業も多いと思われるが、その内容は時代に即してアップデートされているだろうか? 本書は、求められるリーダーシップの在り方を今一度見直し、組織力の更なる向上を実現するための一助となるはずだ。

場をつくる チーム力を上げるリーダーの新しいカタチ

内容紹介
「独りで率いる」リーダーから、「つながりを育て、共に走る」リーダーへ!

絶え間なく変化する現代において、リーダーに求められる役割は、率先してメンバーを導くリーダーから、メンバーそれぞれが持っている個性や強みを最大限に発揮できるよう支援するリーダーへと変わりつつあります。
チームやメンバーが持っている、秘めた強みや資源を解き放ち、共に関わり合いながら共創解を生み出せる自律的なチームにしていくためには、心理的安全な場をつくること、これまでの組織の慣習に揺らぎを与え、そこで生まれた新たな変化の芽を歓迎するような、「場の生命」を育むことが重要です。
「意見出しや決定などで、リーダーの負担が大きすぎる」「チーム・組織のメンバーのつながりが薄い」「コミュニケーションが生まれにくい」「新しいアイデアや価値、変化が生まれにくい」「決まったプランが実行されない、成果につながらない」
こういった悩みを抱える方に向けて、本書では、基盤となる心理的安全性と4つの段階の場からなる「場づくりサイクル」という観点から、新しい価値を生み出していく、パフォーマンスの高いチームにしていくための方法を紹介します。