株式会社日本総合研究所 創発戦略センター スペシャリスト
四六判/236ページ/1800円+税/一般社団法人金融財政事情研究会
BOOK REVIEW ―人事パーソンへオススメの新刊
■ 中高年男性の働き方に関するデータを軸にしながら、この層を取り巻く働き方の現状について整理することで、現実的かつ前向きな提言を行っていきたい――。本書は、社会課題等に取り組む企業への投資関連業務に携わってきた著者が、上記のような問題意識を基に、豊富の調査結果を交えながら中高年男性のこれからの働き方について解説したものである。
■ 第1章で中高年男性を取り巻く働き方の現状に触れた後、第2章では、企業の定年制度や役職定年がもたらす問題、若手社員と共存することの難しさなど、中高年男性をめぐる働き方の課題について解説している。続く第3章では、副業・兼業や再就職、起業など、中高年男性が自らの幸福を実現するために始めるべき事柄を具体例とともに紹介する。そして第4章では、企業が中高年男性を活かすための方法論について述べられている。例えば「キャリア形成支援」については、若年層ほどその効果が高いという調査結果が出ているものの、度重なる法改正の影響で、長く働き続けることが当たり前の社会になっていくという前提に立てば、中高年男性のキャリア形成ほど手厚く支援すべきだとしている。
■ 最後の第5章では、中高年男性の活躍推進を通じた日本社会の活性化について触れる。本書を読めば、自社の中高年男性社員が意欲的に働けるための施策検討の参考となるだけでなく、「幸せに働ける中高年を増やす」という大きな視点で企業が果たす役割を考える契機にもなるだろう。
内容紹介 ◆都市部大企業に勤める高学歴中高年男性の意識調査からみえてくる「中高年男性の仕事観」と「55歳の再就職活動の現実」。変化を余儀なくされる社会のなかで、70歳まで働ける企業や社会のあり方とは。 |