2022年06月10日発行 労政時報本誌  4036号 014頁

特集1:本誌特別調査

等級制度と昇格・昇進、降格の最新実態

労務行政研究所では2022年1~3月に、「等級制度と昇降格に関する実態調査」を実施しました。以下では、『労政時報』第4036号(22.6.10)で掲載した調査結果の主なポイントをご紹介します。

■主な調査項目に見るポイント

導入している等級制度:「職能資格制度」を単体で導入している企業が一般社員53.6%、管理職39.3%で最多。「役割等級制度」は同19.4%、26.0%、「職務等級制度」は同14.3%、16.3%
等級数(グレード数)の設定状況:非専門職について見ると、一般社員は「4段階」が26.8%、「6段階」が22.6%、「5段階」が18.3%となり、“4~6段階” が67.7%。同じく管理職層は「3段階」が37.3%、「4段階」が26.7%であり、“3~4段階” が64.0%
昇格(昇進)可否の判定に関する試験・アセスメント:一般社員から管理職への昇格(昇進)の場合、「実施している」が66.3%と3分の2に上り、実施内容(複数回答)としては、「面接」が80.8%、「筆記試験・論文・レポート」が71.5%と多い
昇格(昇進)の候補者決定で考慮する要素:一般社員から管理職への昇格(昇進)の場合、「人事考課の結果」が90.3%で最も多く、「上司からの推薦」が77.9%で続く(複数回答)。考慮する人事考課の年数は、「過去2年分」が34.9%、「過去3年分」が32.5%
マネジメント職位への想定登用年齢と在職者の年齢:想定される最短登用年齢の平均は、係長クラス30.4歳、課長クラス35.5歳、部長クラス42.1歳。在職者の平均年齢は、係長クラス43.6歳、課長クラス48.0歳、部長クラス52.7歳
5年前と比較した役職への昇格(昇進)スピードの変化:「変わらない」が課長クラス73.1%、部長クラス75.3%で主流。「速くなっている」はそれぞれ17.8%、16.0%と前回14年調査(同26.5%、23.0%)から減少
降格制度の有無:職能資格制度を導入している企業のうち、降格制度が「ある」のは62.9%

■等級制度の導入状況

 調査回答企業において導入している(資格)等級制度は、一般社員では、「職能資格制度」を単体で導入している企業が53.6%で半数以上を占め、「役割等級制度」が19.4%、「職務等級制度」が14.3%と続いている[図表]。「職能資格制度」の導入率は規模が大きいほど高い傾向にあり、1000人以上で66.7%と3分の2に上る一方、300~999人は49.4%、300人未満は38.6%と半数を下回る。
 管理職も「職能資格制度」を単体で導入している企業が最も多いが、39.3%と4割程度である。一方、「役割等級制度」は26.0%、「職務等級制度」は16.3%と、一般社員より導入率が高い。
 参考までに、[図表]において「上記いずれかを併用」と回答した企業(一般社員11.2%、管理職16.3%)の導入状況を加味した各制度の総導入率を[注2]で示している。一般社員では、「職能資格制度」が62.2%、「役割等級制度」が25.0%、「職務等級制度」が23.0%であり、管理職では、同51.5%、38.3%、25.5%となっている。

[図表]導入している等級制度

【調査要領】

1.調査時期:2022年1月28日~3月24日

2.調査方法:①調査票の郵送による記入、②PDF形式の調査票への記入

3.調査対象:全国証券市場の上場企業3177社と、上場企業に匹敵する非上場企業(資本金5億円以上または従業員500人以上)2529社の合計5706社

4.集計対象:前記調査対象のうち、回答のあった197社(1社1人)。規模別の内訳は、1000人以上76社、300~999人77社、300人未満44社。



『労政時報』第4036号(2022.6.10)の特集記事

1.等級制度と昇格・昇進、降格の最新実態(労務行政研究所)

2.降職、降格、降級に関する適正な人事権行使の実務

3.職場の心理的安全性を高める取り組み事例(大日本印刷/ライオン)

付録:実務に役立つ法律基礎講座 (83)管理監督者

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