2022年06月10日掲載

BOOK REVIEW - 『ビジネスコーチング大全』

橋場 剛 著
ビジネスコーチ株式会社 取締役副社長 
四六判/294ページ/2200円+税/日本経済新聞出版 

BOOK REVIEW  ―人事パーソンへオススメの新刊

■ 高速かつ激しい事業環境変化を生き抜くためには、「自律的な人材」、つまり"自ら考え、自ら行動でき、自ら成果を生み出すことができる人材"が求められる。そして、自律的な人材の育成に有効なアプローチの一つが「ビジネスコーチング」であると筆者は説く。本書は、1万時間を超えるセッション・研修実績を持つ、ビジネスコーチの第一人者である筆者が、その経験から得られたビジネスコーチングの「実践知」をまとめた書籍である。

■ 本書は全10章から構成され、ビジネスコーチングの概要を解説した第2章や、"対経営者""対管理職"など対象別に行われるビジネスコーチングの分類を説明した第4章など注目点は多い。その中でも中核となるのは、第6章「ビジネスコーチングのアプローチ――基本スキルとメソッド」である。ビジネスコーチングのプロセス全体を「1:思考を変える」「2:行動を変える」「3:成果につなげる」の三つのフェーズに分類し、具体的な質問例や特定の状況を想定した事例による演習を織り交ぜながら、ビジネスコーチングの基本スキルを学べる構成となっている。

■ 本書は、プロのビジネスコーチとして活動している人やこれから目指す人だけに向けたものではない。「自律的な人材の育成」という観点から見れば、人と組織の可能性を最大限に引き出したいと考える人事担当者にとっても、非常に参考になる考え方を数多く紹介している。短時間でもエッセンスをつかめる各章末の「ポイント」や「簡単なワーク」も活用しながら、自社の人材育成研修などに取り入れてみてはいかがだろうか。

ビジネスコーチング大全

内容紹介
結果を出す人の陰に名コーチあり! 自ら考え・行動し、成果を出せる人財を育てる。延べ10万人超、累計5000時間超のセッション実績を持つ第一人者による「コーチングの教科書」の決定版!

スティーブ・ジョブズ氏、ラリー・ペイジ氏ら多くの名経営者を導いたコーチの姿が描かれ話題となった『1兆ドルコーチ』。アジア人初のマスターズ制覇という偉業を成し遂げた松山英樹選手を導き注目を浴びた目澤秀憲コーチ。結果を出す人達の陰には、適切なアドバイスや客観的なフィードバックにより個々の才能を開花させる優れたコーチが存在する。
企業においても、特に「超VUCAの時代」といわれるなか、変化に対しスピーディかつ柔軟に対応でき、多様な価値観を前提として自ら考え行動し、成果を出せる人財が強く求められており、そうした人財を育成するコーチングの重要性に対する認識が高まっている。しかし、コーチングを有効なものとするためには、上司はスキルを磨く必要に迫られる。例えば、最も基本となる部下との1on1実践においても、最低限のスキルがなければ効果は生まれない。
本書は、豊富な実績を持つビジネスコーチングの第一人者が、「なぜ、いまコーチングなのか」の基本的な問いに答え、ベーシックスキルから実践のポイントまでをわかりやすくまとめる、「コーチングの教科書」の決定版。表面的なノウハウを解説するにすぎない多くの類書とは異なり、17年間にわたり取り組んできた実践知に基づいた暗黙知を形式知化し、クライアント(部下)に高い成果をもたらすコーチングの概要をはじめとして、その本質・要諦・原理原則までを網羅する。
部下の育成に悩むマネジャーはもとより、職業としてのコーチを目指す人、これからコーチングに取り組みたい人にとって必携の一冊である。