精神障害の労災認定最多 3年連続、パワハラ深刻 21年度、厚労省まとめ

 

 厚生労働省は24日、仕事が原因でうつ病などの精神障害を患い、2021年度に労災認定されたのは前年度比21件増の629件だったと発表した。1983年度の統計開始以来、3年連続で過去最多を更新した。認定のうち自殺(未遂を含む)は79人でほぼ横ばい。原因別でみると「パワーハラスメント」が125件で最も多く、強いストレスを感じる働き方が職場でまん延している実態が浮き彫りになった。

 精神障害による労災申請も前年度比295件増と2346件で過去最多だった。厚労省の担当者は「働き方への関心が高まり、精神障害が労災認定されることが浸透してきたのではないか」と分析している。

 20年度から原因別の項目が設けられたパワハラは、2年連続で最多だった。厚労省によると、パワハラに続き「仕事内容・仕事量の変化を生じさせる出来事があった」71件、「悲惨な事故や災害の体験、目撃」66件の順だった。

 業種別では「社会保険・社会福祉・介護事業」が82件で最多。医療業、道路貨物運送業、飲食店と続いた。

 過重労働が原因の脳・心臓疾患での労災申請は前年度比31件減の753件。認定は172件だった。死亡(過労死)は前年度比10人減の57人。申請、認定ともに17年度からの過去5年間で最も低くなった。厚労省は「働き方改革で長時間労働が減少傾向にあることが影響しているのではないか」としている。

 認定されたケースの時間外労働時間をみると、発症前の直近1カ月間で「100時間以上120時間未満」、発症前2カ月間から6カ月間の月平均では「80時間以上100時間未満」が最も多かった。業種別では申請、認定とも「道路貨物運送業」が最多だった。

 新型コロナウイルス感染症に関連する脳・心臓疾患の支給決定件数は4件、精神疾患は18件だった。また、本業の他に副業・兼業をしている人の労災認定数も初めて公表され、脳・心臓疾患による認定は2件、精神障害の認定はなかった。

(共同通信社)