2022年07月08日掲載

BOOK REVIEW - 『「越境企業」のはじめ方』

瀬戸口 航 著
株式会社ファーストキャリア代表取締役社長、株式会社セルム執行役員 
四六判/208ページ/1400円+税/ディスカヴァー・トゥエンティワン 

BOOK REVIEW  ―人事パーソンへオススメの新刊

■ コロナ禍以降、オンラインでの研修が急速に普及するなど、若手人材の育成環境は大きく変化している。若手自身も、効率的かつスピーディーに成長することを求めており、これまでの育成手法はもはや通用しない、と著者は指摘する。そこでキーワードとなるのが、「越境」である。越境とは、例えば組織や企業を飛び越えた経験をし、そこで得たものを自分の組織に持ち帰り、自分も組織も成長するようなアクションを指す。本書では、この「越境」を人材育成研修に取り入れるためのノウハウを紹介する。

■ 越境の意義や実践方法を解説する前に、本書ではまず新人や若手層の人材育成における現状や課題を整理する。第1章においては、コロナ禍以降の新入社員研修を振り返り、若手人材や企業の置かれている環境を整理していく。続く第2章では、先の見えない時代に求められる若手リーダーとはどのような存在か、また若手リーダーの持つ可能性について言及する。ここでは、次世代のリーダーとなる若手の育成をデザインするだけでなく、一人ひとりのリーダーシップを育むことが重要である点も指摘している。

■ 第3章からはいよいよ本題に入り、前章までで見てきたような環境変化に対応し、若手のリーダーシップを高める方法として、越境学習(越境体験)を取り上げる。まず、越境学習の意義やその効果を解説した上で、著者が代表を務めるファーストキャリアの研修プログラムを例に、越境学習を研修に落とし込むノウハウを紹介する。さらに、越境学習を研修に取り入れた企業や、越境学習を経験した若手へのインタビューも掲載している。これからの人材育成を考えていく上で、本書で紹介されている"越境企業"の在り方は参考となるだろう。

「越境企業」のはじめ方

内容紹介
部署、役職、会社を飛び越えた経験によって自分も組織も成長する「越境」。その意義や心構え、前提となる企業のあり方などを紹介。さらに、企業における人材育成の本質的な課題を明らかにし、企業が実践すべき解決策を示す。

先が見えない時代。
企業は次世代リーダーをどう育成するかが問われています。

旧来の業界構造や組織形態の“当たり前”が崩れつつある今、これまでの枠組みの中では未来のリーダーは育まれません。また、未来の担い手となる若者たちが企業に求めるものも大きく変わってきています。そこでキーワードになるのが、本書のタイトルにもある「越境」です。

ビジネスパーソンの文脈で言う越境とは、部署や役職、時には会社やビジネスの枠を飛び越えたさまざまな経験をすることで、新たな視点を得て持ち帰り、自分も組織も成長するような一連のアクションを指します。

本書は、次代を担う企業やビジネスパーソンに向け、著者が人材育成の現場最前線で得た知識や経験をもとに、越境の解釈や心構え、また、前提となる企業・組織のあり方まで紹介します。

さらに、企業における人材育成の本質的な課題に迫り、明らかにした上で、「具体的な実践事例」を交えながら実践すべき解決策を紹介しています。