人事賃金管理センター代表取締役、日本病院人事開発研究所代表幹事
A5判/228ページ/2800円+税/中央経済社
BOOK REVIEW ―人事パーソンへオススメの新刊
■ 本書は、コロナ禍を契機に広がった企業と社員の関係の変容を受け、新たな人事制度の在り方を提案する一冊だ。著者は、今後、日本企業がグローバル社会で生き残っていくためには、「世界基準の人事制度である能力・役割・成果主義(日本型成果主義)の導入は必至である」と言い、その運用が決め手になると強調する。
■ 第1章「働き方新時代の人事と賃金のあり方」では、3種類の人事・賃金制度を紹介した上で、ベストな制度の選択を考える。本書では、「40歳(係長クラス)までは能力主義、40歳以降(部課長)は役割・成果主義」を組み合わせるツーラダー人事システムがベストな選択だと示されている。続く第2章は「能力・役割・成果主義賃金制度の総点検」として、賃金制度の組み立て方などを細かく解説する。特に、著者が開発した「半日でできる賃金表の作り方」は本書で初めて公開されたものであり、見どころの一つだろう。第3章「採用から退職まで、新・人事制度の運用実務」では、新卒採用やパートタイマーの賃金設計、昇給の決め方など、運用面でのノウハウを解説。そして、第4章「人材育成論とその実際」で、部下の育成を担う管理職の果たすべき役割と再教育の必要性を説く。
■ 最終第5章「人事・賃金制度改革の成功の鍵」では、近年注目を集めているジョブ型人事システムへの転換に当たっての人事制度構築の基本要件、人材活用戦略などの実務ノウハウを解説している。人事・賃金制度を中心に目標面接制度や人事考課、昇格管理、人材育成、人事異動などの周辺領域にも言及している点は本書の大きな特徴であり、40年にわたってコンサルタントとして人事・賃金制度の動向を見てきた著者の思いが詰まった一冊となっている。
内容紹介 成果主義というと、主に成果主義賃金のことと思う人が多いが、成果主義にも優しい人事・賃金、厳しい人事・賃金など、いろいろな種類と体系の作り方がある。どの人事・賃金を選択するかは組織の成熟度による運用次第で変わる。今、話題のジョブ型雇用・賃金も成果主義の表現の仕方の違いにすぎない。 本書では、人事・賃金制度改革の本質は、能力・役割・成果主義(日本型成果主義)人事制度の構築が不可欠であること、さらに重要なことは、その運用であることを詳しく解説する。 |