ドリームサポート社会保険労務士法人 代表社員/特定社会保険労務士
A5判/224ページ/2200円+税/日本実業出版社
BOOK REVIEW ―人事パーソンへオススメの新刊
■ 「人」にまつわる悩みは、どの企業でも何かしらあるだろう。特に中小零細企業においては、「なかなか良い人が採用できない」「採用しても定着しない」など、"人の定着と成長"に悩みを抱えていることが少なくない。そのような悩みを解決する仕組みとして、著者は独自の人事評価の仕組みである「マトリクス人財育成制度」を提案する。本書では、この新たな評価制度の特長を示した上で、給与・育成のシステム等も含めた人事制度全般を見直す上でのプロセスを詳細に解説する。
■ マトリクス人財育成制度は、タテ軸に技術力(スペシャリティ)評価、ヨコ軸に組織力(マネジメント)評価を配置し、両者を別個に評価する。そして、両者の評価結果がクロスする箇所を、その人の等級とする――というように、二つの評価軸の結果をあえて分けたまま表現する点に特長がある。本書では、まず会社ごとの特性を踏まえてタテ軸とヨコ軸をつくっていくことからはじまり、MBO(目標管理)を活用した評価方法を解説する。そして、評価と連動する給与システム、育成システムのつくり方を紹介していく。また、運用面での実務として給与改定や昇降格の仕組み、年間スケジュールの設計も解説する。
■ 昨今の多くの企業では、社員全員が管理職を目指すわけではない。こうした状況を踏まえ、専門性も別個に評価することで、一人ひとりに合った成長を支援できるのがこの制度の特徴だ。また、それぞれの社員に必要な能力を一つの表で示すため、タテ・ヨコ・ナナメでどのような成長が期待されるのかを明確にすることができる。複雑な人事制度がなじまない中小零細企業にとって、本書で紹介されているコンセプトや制度設計手法は参考となるだろう。
新標準の人事評価 人が育って定着する〈二軸〉評価制度の考え方・つくり方 内容紹介 求める人財の要件を「言語化・可視化」でき、多様な雇用形態にも対応する「新しい評価法」が、これ1冊でわかる! 処遇に「主流・傍流」の格差をつくらず本領を発揮させる。評価のしかたを変えれば社員は納得し、成長する。 |