株式会社PABLO 代表取締役
四六判/236ページ/1650円+税/日本能率協会マネジメントセンター
BOOK REVIEW ―人事パーソンへオススメの新刊
■ 「部下のやる気がない」と悩む、マネジャー職のビジネスパーソンは多いのではないだろうか。とかく仕事には"やる気"が不可欠だと思われがちだ。しかし、本書が説くのは、部下の"やる気"に依存しないマネジメントと、それを実現するコーチングの手法である。コーチング会社を設立し、毎月300回以上のコーチングセッションを実施している著者が、その経験から得られたコーチングのエッセンスをまとめている。
■ 序章で"そもそもコーチングとは何か"について説明し、コーチングに関する誤解を解いた上で、第1部ではコーチングを行う前に必要な準備について解説する。上司と部下が自己開示して信頼関係を構築すること、自分の強みと弱みを言語化すること、目標設定と行動計画の策定など、多くの場合「やらされている」状態からスタートする相手に対しての、コーチング前の意識のすり合わせ方について詳しく触れている。続く第2部では、コーチングの意義である"「経験」を「学び」にできる人材を作る"ための、「経験学習サイクル」に焦点を当てたコーチング手法を解説。成功体験・失敗体験の振り返りや、それらの経験から得た教訓の生かし方など、部下の"やる気"に頼らず自立自走できるようなコーチングの方法を順序立てて説明している。
■ 本書の大きな特徴は、具体的なコーチング事例として上司と部下の会話例を豊富に掲載していることだ。コーチングの経験がない人でも、効果的な問いかけや課題設定の方法がよく理解できる構成になっている。部下のマネジメントに悩んでいる方には、ぜひ参考にしていただきたい一冊だ。
部下のやる気はいらない 「一歩踏み出す」からはじめるコーチング 内容紹介 ■やる気のない部下を嘆くマネジャー ただ、脳科学の世界では「何かに取り組んだり行動したりするのにやる気は必要ない」と言われている。人間の「やる気」は、脳内で分泌される神経伝達物質・ドーパミンによって引き起こされるのだが、それは実際に行動を起こさなければ分泌されないのだ。 ■やる気に左右されず部下が成果を上げるコーチングメソッド |