2022年09月30日掲載

BOOK REVIEW - 『スタートアップの人事労務ガイド』

弁護士法人東京スタートアップ法律事務所 編著
中川浩秀、後藤亜由夢、中村 望、宮地政和、森 哲宏、内山悠太郎、林 洋輔、砂原惣太郎 著
A5判/272ページ/3200円+税/中央経済社 

BOOK REVIEW  ―人事パーソンへオススメの新刊

■ スタートアップ段階の企業は、ある程度の規模に成長した企業と比較して従業員数が少なく資金力も乏しいことから、労務に関してトラブルが発生した場合に、会社経営や存続に対する影響がより大きい。そのため、トラブル予防が極めて重要であることは言うまでもなく、たとえ十分な予防ができていなくても、事前に想定して対策を考えておくべきである。本書は、多くのスタートアップ企業の法的支援を行ってきた著者が、スタートアップ段階の人事労務に関する法律知識を基本から分かりやすくコンパクトに解説している。

■ 例えば、スタートアップ企業においては、多様な勤務形態を採用することが社員募集への好影響や生産性向上にもつながることから、柔軟な労働環境設計を行うことが有益である。そこで、変形労働時間制やフレックスタイム制などの基礎知識はもちろん、コロナ禍で普及したテレワークの導入方法や対象者・申請方法、労働時間管理等についても解説している。また、「ストックオプションの活用」や「エグジット時の従業員の扱い」といった、スタートアップ段階に特有の(あるいは特に関心が高い)テーマについて独立した章を設けて詳細に説明している点も、本書の特徴である。

■ 本書は、労働関係法令に違反するかどうかの基準を解説することはもちろん、そもそもトラブルが発生しないようにするためのアドバイスが豊富に盛り込まれている。必要に応じて専門家に相談することが最善策だろうが、スタートアップ企業の経営者や人事労務担当者は、まずは法的なトラブルになる点を本書で事前に理解・確認してはいかがだろうか。

スタートアップの人事労務ガイド

内容紹介
採用から退職までの基本的な流れから、業務委託、柔軟な労働環境設計、エグジット時の問題まで、スタートアップの人事労務に関する法律知識をわかりやすくコンパクトに解説。

スタートアップの人事労務に関する法律知識をわかりやすくコンパクトに解説しています。 採用から退職までの基本的な流れのほかに、業務委託、柔軟な労働環境設計、エグジット時の問題といったスタートアップで悩むことの多いトピックもフォローしています。