カゴメ株式会社 常務執行役員CHO(最高人事責任者)/法政大学大学院政策創造研究科教授
A5判/232ページ/2400円+税/中央経済社
BOOK REVIEW ―人事パーソンへオススメの新刊
■ 人的資本経営に対する注目が急速に高まっている。本書は、カゴメのCHO(最高人事責任者)である有沢正人氏が同社で実践してきた人事改革を掘りさげ、カゴメがどのように人的資本経営を実現したのかを解き明かしたものである。単に同社の展開する個別の取り組みを紹介するにとどまらず、法政大学教授の石山恒貴氏が有沢氏のキャリアや取り組みを分析し、人事改革の本質に迫るという、これまでにないアプローチによる1冊だ。
■ 第1章では、タイトルにもある「戦略人事」と「サステナブル人事」の概要について解説する。サステナブル人事は戦略人事の進化形と捉えられる場合もあるが、これらはあくまで異なる考え方であると石山氏は指摘する。それぞれに対立・葛藤する側面があることから、一般的には両立させることは難しいものの、カゴメは人事改革(同社でいう「生き方改革」)によりこれらを両立させ、人的資本経営を実現しきた。このような前提を整理した上で、まずは有沢氏がカゴメに入社するまでのキャリアを第2章で振り返り、第3~6章では有沢氏がカゴメで実践した人事制度改革を具体的に紹介する。ここまでの内容を踏まえ、第7~8章において、CHROに求められる経験・能力と、人事改革を進めるプロセス・原則を一般化することを試みている。
■ 本書には有沢氏と石山氏による対談も収録されており、人事の本質や職務等級の導入など、人事担当者なら誰もが気になるトピックについて議論しているのも魅力的だ。有沢氏がどのようなバックグラウンドを持ち、どのような問題意識で改革に挑んだのかを詳細に記した本書は、人的資本経営の実現に向けて多くの気付きを与えてくれるだろう。
カゴメの人事改革 戦略人事とサステナブル人事による人的資本経営 内容紹介 人事改革=生き方改革。WhatとWhyの原則によって、戦略人事とサステナブル人事を両立し、人的資本経営を実現するCHROを、カゴメの事例をあげながら、再現可能な姿として示す。 第1章 戦略人事とサステナブル人事 |