2022年10月14日掲載

BOOK REVIEW - 『自分のスキルをアップデートし続ける リスキリング』

後藤宗明 著
一般社団法人ジャパン・リスキリング・イニシアチブ 代表理事、SkyHive Technologies 日本代表 
四六判/336ページ/1850円+税/日本能率協会マネジメントセンター 

BOOK REVIEW  ―人事パーソンへオススメの新刊

■ テクノロジーの導入により急速に多くの仕事が自動化することで、人々の雇用が失われる「技術的失業」が問題となっている。その課題に対処する(企業においては、消えてゆく仕事から成長事業への労働移動を実現する)べく、社員に新たなスキルを獲得させる「リスキリング」の必要性が増している。本書は、日本でリスキリングを広める活動を行っている団体の代表である著者が、リスキリングの実践方法を体系的に解説した書籍である。

■ 第1章ではリスキリングの必要性や外部環境の変化について解説し、続く第2章では「ベテラン社員」「大企業の会社員」「中小企業の会社員」「産休、育休からの復職者」など、対象者の属性ごとに有効なリスキリングの方法を紹介していく。本書の核となる第3章では、個人がリスキリングを実践する上で必要な10のプロセスを取り上げる。「現状評価」「情報収集の仕組みづくり」「学習履歴とスキル証明」など、取り組むべき事項を詳細に説明している。第4章~第6章では、学歴ではなくスキルに着目した人材採用のトレンドや、リスキリングとキャリアアップの関係、AIと協働する時代におけるリスキリングの在り方などについて幅広く触れている。

■ 本書でも解説しているとおり、リスキリングはあくまで企業主導で就業時間内に行う「業務」であり、個人が自主的に好きなことを学ぶ従来の「学び直し」とは異なる。そのため、企業としては単に学習の機会を提供するのではなく、自社の経営方針に即した計画的な取り組みが必要となる。自社におけるリスキリングの必要性を感じている方は、ぜひ本書を参考にして戦略的なリスキリングに取り組んでほしい。

自分のスキルをアップデートし続ける リスキリング

内容紹介
世界が変わりビジネスも変わる、新たに必要なスキルを獲得しDX人材に進化せよ! 新しいことを学び、スキルを身につけ実践し、新しい業務や職業に就く「リスキリング」を徹底解説。AIとロボットと人間の協働も紹介する。

リスキリングとは、「新しいことを学び、新しいスキルを身につけ実践し、そして新しい業務や職業に就くこと」で、主に企業の人材戦略の一環として言われる。今まではこうしたことは新規社員の採用で行ってきたが、近年日本でもリスキリングの重要性が叫ばれ、国や企業でもリスキリングの流れや取り組みが始まっている。こうした背景のなかで注目されているのが「個人のリスキリング」だ。とくに近年はDXに関するリスキリングの重要性が注目されている。
本書は、現在注目されている「リスキリング」がわかる&実践できる本。これからリスキリングを実践しようとしている人だけでなく、リスキリングという言葉の意味やこれからのビジネストレンドを知りたい人、ならびにリスキリングを自社に導入したいと考えている企業担当者にも役立つ一冊です。