マイナカード事実上義務化 24年秋、現行保険証廃止 免許証一体化も前倒し 普及急ぐ政府、野党は批判

 

 河野太郎デジタル相は13日、現行の健康保険証を2024年秋に廃止してマイナンバーカードを代わりに使う「マイナ保険証」に切り替えると発表した。カードと運転免許証の一体化も24年度末としていた実施時期の前倒しを検討する。保険証廃止はカード取得の事実上の義務化と言え、23年3月末までにほぼ全ての国民に交付するとした政府目標へ向け、普及促進を図る。

 カードの交付率は今年9月時点で人口の49%にとどまる。岸田文雄首相は同日のBSフジ番組で「日本を国際社会に劣らないデジタル社会にするための一つの基盤だ」と述べ、政府はカード普及を急ぐが、野党からは取得の強制だとして批判が出ている。

 河野氏は、米グーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」を採用しているスマートフォンへのマイナンバーカード機能搭載が、来年5月11日にできるようになることも明らかにした。カードを持ち歩かなくても、住民票の交付といった行政手続きなどができる。米アップル「iPhone(アイフォーン)」への対応時期は未定。

 マイナ保険証は既に本格運用が始まっている。医療機関は患者の同意の下、過去の処方薬や特定健診の情報を見て治療に生かせる。河野氏は「医療の質が向上する」と説明。廃止後もカード未取得者が診療を受けられるよう厚生労働省などと対応策を検討する。

 カードに免許証機能を搭載する一体化について河野氏は「カードリーダーをお巡りさんが持って読み取るのが大前提。どう前倒しするか警察庁と検討したい」とした。デジタル庁は、現行の免許証の廃止は「現時点で検討していない」としている。

 このほか、民間企業のマイナンバー活用を促すため、オンライン取引などでカードを使って本人確認する際、企業が国側に支払う電子証明書利用料を3年間無料にする。

 政府は、買い物などに使えるポイントを取得者に最大2万円分付与する「マイナポイント事業」も行っている。

 松野博一官房長官は記者会見で、情報漏えいに対する懸念が根強いことを踏まえ「国民の漠然とした不安を払拭するため、安全性についての広報に今後さらにしっかりと取り組む」と述べた。

(共同通信社)