2022年10月28日掲載

BOOK REVIEW - 『人事制度の基本』

西尾 太 著
フォー・ノーツ株式会社 代表取締役社長、「人事の学校」主宰 
A5判/296ページ/2000円+税/日本実業出版社 

BOOK REVIEW  ―人事パーソンへオススメの新刊

■ DXの推進、"ジョブ型"雇用への注目の高まり、リモートワークをはじめとした働き方の多様化など、企業を取り巻く環境が大きく変化する中、人事制度も時代に合わせて見直していく必要があると考えがちだ。しかし、実は人事制度のハードウェア(型)は大きく変わらない、と著者は指摘する。業種や規模によらず、人事制度には基本となる"型"がある。本書は、400社以上の企業の人事制度に携わってきた著者が、「普遍的(変わらないもの)」で「汎用(はんよう)的(業種や規模にかかわらず共通しているもの)」な人事制度のつくり方を解説する。

■ まず、第1章で"そもそも人事制度は何を目指すものなのか"を改めて考えた上で、続く第2章では日本の人事制度の変遷を振り返りつつ、人事制度設計における「考え方」と制度の全体像を整理する。第3章は制度設計で最も大切になる「人事ポリシー」の明確化について見ていき、第4章からいよいよ制度設計に入る。等級制度と職位制度、評価制度、給与制度のそれぞれについて、検討の方向性や設計のポイントを詳述。さらに、制度設計後の導入・運用や、評価者の育成については第7~8章で確認していく。

■ 著者は、人事制度は「やり方」ではなく「考え方」が重要であると強調する。例えば、「ジョブ型」はあくまで「やり方」であり、それをどのような「考え方」で行うのかが大切なのだ。この「考え方」は、どの企業であっても共通して必要となるものだろう。考え方のポイントと、それに基づくやり方(制度設計の手法)が解説された本書は、人事制度の設計・運用に関わるすべての担当者必読の一冊といえる。

人事制度の基本

内容紹介
リモートワーク、週休3日制など、会社を取り巻く状況が大きく変化する時代に求められる「普遍的」かつ「汎用的」で自社に最適な人事制度のつくり方を紹介する。人を育てる「45のコンピテンシー」一覧表など巻末資料も充実。

企業の規模に関わらず、長年運用されてきた人事制度が時代に合わなくなっていることも多いのではないでしょうか。また、創業期から整備してきたものの、今の人事制度で本当に自社にあった評価をできているか疑問、という会社も多いかもしれません。本書はそんな悩める企業の人事担当者・経営者に向けて、時代に合った、自社に合った、会社も社員も納得できる人事制度の設計・運用の基本をまとめました。著者は30年以上、一貫して人事の仕事を続けてきた人事コンサルタント、これまでに400社以上の人事制度に携わってきた「人事のプロ」です。大企業から中小企業まで、業種・規模もさまざまな会社の人事制度を知る著者だからこそお伝えできる「普遍的」にして「汎用的」な、人事制度の決定版入門書です。