斎藤智文、伊藤健市、岡田寛史、佐藤健司、楠奥繁則 訳
菊判/224ページ/2500円+税/晃洋書房
BOOK REVIEW ―人事パーソンへオススメの新刊
■ アメリカの『フォーチュン』誌が毎年発表している「最も働きがいがある会社100選」をご存じだろうか。そのランキングが選考基準として使用する「GPTWモデル」(働きがい理論)は、本書から誕生したものだ。本書は、数百の会社、数千人を超える社員への膨大なインタビュー調査を基に、「働きがいのある会社」に必要な要素をまとめた『A Great Place to Work』(1988年発行)の日本語版である。
■ 本書は全6部から成る。第1部では、従業員へのインタビューから「働きがいのある会社」の定義("経営者を信頼できる"など)を導き出し、続く第2部では、いくつかの会社の具体的な方針や慣行を検証し、定義に対してより厳密な考察を行っている。第3部では、ピーター・ドラッカーをはじめとする4人の第一人者による著名な経営思想を取り上げ、従業員の視点から分析するとこれらのマネジメント理論が不十分である点にも触れている。第4部で実際にあった"ひどい職場"をケーススタディーとして取り上げて問題点を分析した後、第5部ではこれまでの内容を踏まえて職場を分析するための枠組みを提示し、第6部では新たな職場倫理の実現などに言及している。
■ 著者が足を運んでインタビューした社員の声を多数引用し、"働く人視点"に徹した分析を行う点で、本書は「従業員エンゲージメント調査」の草分け的な仕事ともいえる。原著は今から30年以上前に出版されたものだが、「働きがいのある会社」に求められる本質的な要素は変わらないだろう。より良い組織作りを目指す人事パーソン、マネジメントに悩む管理職など、本書の内容は「会社」で働くすべての人の視野を広げてくれるはずだ。
内容紹介 どんな企業でも「働きがいのある会社」になれる |