2022年11月25日掲載

BOOK REVIEW - 『評価制度の運用・研修 パーフェクトガイド』

榎本あつし 著
人事コンサルタント、社会保険労務士 株式会社MillReef 代表取締役 
A5判/256ページ/2200円+税/アニモ出版 

BOOK REVIEW  ―人事パーソンへオススメの新刊

■ 人事評価制度における"運用の大事さ"は、多くの人事が理解していることだろう。いかに素晴らしい制度をつくろうとも、運用がうまくいかなければ、人事評価の本来の目的(人材育成やモチベーション、業績の向上など)を達成することはできない。実際、制度が形骸化してしまうなど運用面での課題を抱える企業も多い中、本書は、人事評価制度の運用ノウハウとそれを支える研修の手法に特化した一冊である。

■ 人事評価制度の運用ノウハウについては、「期初」「期中」「期末」「一次評価からフィードバック面談」という4ステップで解説する。例えば、期初に行う目標設定におけるゴールとプロセスの考え方や、使いがちだが使うべきではない「NGワード」の列記、期中のコミュニケーションで活用できる「サポートシート」の紹介といった実践的な内容が数多く示されており、参考となるだろう。フィードバック面談のパートにおいて、具体的な被評価者への伝え方やコーチングスキルなど、現場で使える技が紹介されている点もありがたい。また、後半では、評価者研修として「目標管理研修(期初)」「マネジメント研修(期中)」「評価実施時の研修(期末)」を進める上での、すぐに使える研修資料等(ダウンロード可能)とともに実践の方法が解説されており、本書の"ウリ"の一つとなっている。

■ 人事評価は、現場の管理職から「重要度は高いものの緊急度は低い」と認識されてしまい、後回しにされることも多いのではないだろうか。この点について本書は、あらかじめ1年間のスケジュールを決めることを提案する。スケジュールの設定に当たっては、"2週間以内"などの「期日型」ではなく、具体的な日時を指定する「その場型」が有効と指摘している。こうした現場の悩みに寄り添い、形骸化した人事評価制度を生き返らせることを目指す本書を、ぜひ多くの企業で活用していただきたい。

評価制度の運用・研修 パーフェクトガイド

内容紹介
人事評価制度を生き返らせるためのガイド。人事評価制度をきちんと運用し、必ず効果を出すためのノウハウをやさしく解説。「評価者研修」についても、研修資料付きで説明する。資料類のダウンロードアドレス付き。

著者の既刊『A4一枚評価制度』や『評価をしない評価制度』はおかげさまでご好評いただき、版を重ねています。しかし、人事評価制度は「制度」です。制度は、手段であってツールでしかないので、適正に運用しなければ意味がありません。でも、それができていない企業がとても多いのが実態です。評価制度がきちんと機能しなければ、部下の不満も解消しません。本書は、人事評価制度をきちんと運用し、必ず効果を出すためのノウハウをやさしく解説。「評価者研修」についても、「期初の目標設定」「期中のマネジメント」「期末の評価実施」の3つに分けて研修資料付きでページごとに解説した、まさに評価制度を生き返らせるためのすべての手法を詰め込んだ「パーフェクトガイド」です(運用や評価者研修の実施などに便利で役に立つ資料類のダウンロードアドレス付き)。ぜひ、この本を読んで、形骸化した人事評価制度を生きた制度にしましょう!