ウォンテッドリー株式会社人事責任者
A5判/296ページ/2200円+税/技術評論社
BOOK REVIEW ―人事パーソンへオススメの新刊
■ 少子高齢化とともに進む労働力人口の減少により、採用市場では限られた人材の奪い合いが激化している。こうした時代背景の下では、旧来型の母集団形成を重視する「数頼みの画一的な採用」を継続していては、必要な人材を獲得することがますます難しくなる可能性もある。本書は、現在の採用市場の課題を解決する戦略として、会社の理念や職場のカルチャーへの「共感」を軸に採用を進めることを提案している。
■ 「共感採用」の実践に当たっては、優秀人材との早期接触・認知や、入社後の定着から活躍につなげるエンゲージメント向上など、採用前後の取り組みを含めてアップデートを図る必要もある。これら一連の「リクルートメント・マーケティング」のプロセスについて、ビジョンやコンセプトの設計、採用媒体の選定、カジュアル面談、長期インターン、タレントプール(過去に自社となんらかの接点を持った好ましい人材をリスト化し、採用につなげる考え方)、面接、リテンション、エンプロイーサクセス(入社後のエンゲージメントを高める行為)等、さまざまなノウハウを紹介している。加えて、サイバーエージェント社など3社の採用責任者へのインタビューも盛り込まれている。
■ 本書の特徴としては、各採用プロセスが重要になっている背景や制度設計の概要はもちろんのこと、著者が所属する求人情報サイト運営のウォンテッドリー社が実際に用いている手法や社員向けマニュアル等の実例も交えながら、採用の方法論が具体的に展開されている点が挙げられる。採用活動を統括するマネジャーは本書を通読することで自社の戦略立案に活用できるだろうし、採用担当者は担当業務に関連するパートを参照することで自らの仕事をアップデートするために大いに参考になると思われる。
内容紹介 どうすれば人が来て、正しく選べて、やめないのか、採用担当者はみな同じ悩みを抱えます。 新卒一括採用の比重が高く、解雇規制の厳しい日本では、採用は重大事です。ところが実際には「採用シーズン」だけの一発勝負に出てしまったり、ほとんどフィーリングで進めてしまったりと戦略不在の行き当たりばったりで採用に失敗するケースが無数にあります。 本書ではこれらの問題を、採用の考え方を変えることで解決します。 |