東京大学先端科学技術研究センター 特任講師/株式会社infonerv 創業者
A5判/360ページ/2000円+税/ソシム
BOOK REVIEW ―人事パーソンへオススメの新刊
■ 「なぜ、思ったとおりに人は動いてくれないのだろうか」。会社の"人"に関するものごと全般を扱う人事労務担当者の中には、こうした悩みを抱いている人も少なくないと思われる。本書は組織や社会の「ルールの法則性」に焦点を当て、「ルールに対して人がどのように反応するか」「ルールが『失敗』するときに何が起こっているのか」「ルールをうまく運用するにはどうしたら良いか」について科学的に分析している。
■ 本書の前半では、ルールが想定どおりに機能しないメカニズムについて、四つの階層(ルールそのもの、個人、集団、社会)に分けて解説する。一方で後半では、失敗しないルールづくりのために考えなければならないことを、ルールがつくる「制約」の効用、ルールとAIの関係性といった切り口から説明していく。変化の加速する現代においては、次々と生まれる仕組みを安全かつ効率的に利用するための「新しいルール」づくりが重要であり、「改善することを前提としてルールを策定・運用する」考え方を提案している。
■ 各章内には、経営科学や行動経済学等に基づくさまざまな実験結果や事例が盛り込まれており(例えば「保育園のお迎えに遅刻した保護者に罰金を科したら、逆に遅刻率が2倍に上がった」など)、初学者でも理解しやすい構成となっている。本書の内容を理解すれば、効果的に目的を達成するためにどのような仕組みをつくれば良いのか、なぜ既存のルールで自分自身や他人が期待どおりに動いてくれないのか、間違ったルール設定をしないためには何を考えなければならないのかが見えてこよう。冒頭のような悩みを抱える管理職や人事担当者は、解決のヒントを得られるかもしれない。
数理モデル思考で紐解くRULE DESIGN -組織と人の行動を科学する- 内容紹介 なぜ、人は想定通りに動かないのか? 本書は、組織や社会の「ルールの法則性」に焦点を当て、「ルール作りの基礎教養」ともいうべき新しい概念(=ルールデザイン)を、独自の切り口(=数理モデル思考)から構築するための一冊です。 幼稚園のお迎えに遅刻した保護者に罰金を科したらどうなった? 一見すると予想不可能な "人の行動" 。「RULE DESIGN」「数理モデル思考」という2つの視点で、そのメカニズムを解き明かします。 |