グロービス・キャピタル・パートナーズ ディレクター
四六判/296ページ/1800円+税/フォレスト出版
BOOK REVIEW ―人事パーソンへオススメの新刊
■ 人を見る、といったとき、具体的に何を見てどう評価すべきなのだろうか。本書は、グローバルなエグゼクティブサーチファームであるエゴンゼンダー社で、経営人材のヘッドハンティングやアセスメントに長年携わった経験を持つ著者が、「人を見る目」の技術をビジネスやプライベートで使えるフレームワークに落とし込んだ一冊だ。
■ 「人を見る目」に関してまず注意しなければならないのは、誰もが持ち得る認知エラーが、他者への評価を誤らせることだと著者は述べる。人は四つの階層で構成されており、表層の「経験・知識・スキル」を基にした評価は正確ではない。その下にある「コンピテンシー」と呼ばれる行動特性や、好奇心・洞察力・共鳴力・胆力の4因子からなる「ポテンシャル」、さらに深層の精神性を表す「ソース・オブ・エナジー」を含めた四つの階層の型を理解することで、正確な評価ができるようになるという。人を見極めるための具体的な手法の解説も豊富であり、一部を挙げると、「相手の本質を見抜く実践メソッド」と題した第3章では、面接の場の作り方や話し方などのテクニックが、第5章の「地雷を踏まないための知恵」では、周囲に悪影響を与える有害な人を見抜くポイントが詳解されている。
■ 日本企業の採用や人材登用は、おおむねリスクを避ける傾向がある。これを著者は「可能性のある人材だ」という直感的な判断を表現するための教育が不十分であることに起因すると述べる。人を見る力をつけ、能力とポテンシャルに合った期待値と仕事をデザインすることは、組織マネジメントの向上をもたらす。また、他人に対して決めつけではなく正しい評価を下す力は、やがてよりよい社会づくりにつながるという著者の論にも注目だ。人を見る力についてヒントを得たい人に、ぜひ手に取っていただきたい。
内容紹介 「自分には人を見る目がない」と嘆くなかれ。 「人を見る目がある人」 その答えは…… しかしながら、世の中には「人を見るメソッド」が存在しません。 |