2022年12月23日掲載

BOOK REVIEW - 『管理職ガイド はじめてでも分かる若手のトリセツ』

亀田高志 著
株式会社健康企業 代表・医師 
A5判/82ページ/1000円+税/労働開発研究会 

BOOK REVIEW  ―人事パーソンへオススメの新刊

■ コロナ禍で新卒入社した若手社員は、1990年代後半以降生まれの「Z世代」に当たる。管理職世代が若手社員の言動を見ると、いつの時代も世代間ギャップを感じがちだ。特にZ世代は、「さとり世代」など過去の世代の特徴が強化された部分と、過去の世代に見られない価値観や行動様式を有する新しい部分の、二つの側面を持つことが特徴的であると著者は述べる。Z世代の特徴を理解した上で、早期退職や不調者の続出など職場の問題を回避することを目的に、本書では30のエピソードを取り上げる。事例を読みながら自分ならどう対応するかを考えつつ、失敗となる対応例とその理由、若手社員の言動にある背景と、対応に際し上司が持つべき考え方を、具体的な解説から学ぶことのできる構成だ。

■ 30のエピソードは「受け入れ直後の失敗防止編」「育成の際のトラブル防止編」「不調と問題への対処編」の3セクションで構成される。飲み会を断り続ける新人や、経済的な自立と"FIRE"(早期退職)への希望を社内で声高に語る若手社員への対応など、中高年層の常識とZ世代の価値観の違いが浮き彫りになるエピソードには、共感する読者も多いはずだ。また、若手への厳しい対応を求める役員層と若手社員の間に立たされる管理職が持つべき考え方など、管理職の責任を果たす上での対応まで踏み込んだ内容となっている。

■ 若年層の人口が減少する日本において、事業運営の継続を確保するには、管理職に受け入れと育成への覚悟が求められると著者は述べる。いざ困った場面に遭遇した時には、タイトルにあるように若手社員の「トリセツ(取扱説明書)」として、またこれから迎え入れる若手社員への対応を学ぶための予習材料として、コンパクトにまとまった本書をご活用いただきたい。

管理職ガイド はじめてでも分かる若手のトリセツ

内容紹介
ハンコの大切さを知らない新人、診断書を持参した若手の父親から電話…。Z世代を受け入れる際に遭遇するであろう30の状況を取り上げ、「望ましい対応」と「してはならない対応」を、根拠となる背景と共に具体的に解説する。

管理監督者が、Z世代の若手を受け入れる際に遭遇するであろう状況について「30のエピソード集」にまとめ、「望ましい対応」と「してはならない対応」を「その根拠となる背景」と共に具体的に説明しています。
なぜ失敗するのか、どのように考えるか、何を言葉にするか、行動に移すのかというポイントをわかりやすくまとめているのが特徴です。
エピソードと解説は見開き2ページで簡潔にまとめており、読みやすいのもポイントです。
タイトルにもある「トリセツ(取説=取り扱い説明書)」として、若い世代に対する捉え方を確認し、必要であれば考え直して、日々のマネジメントで実践して頂ければと思います。