2023年01月11日掲載

採用担当者のための最新情報&実務チェックポイント - 2023年1月

ProFuture株式会社/HR総研
代表 寺澤康介

(調査・編集:主席研究員 松岡 仁)

 ProFuture代表の寺澤です。
 HR総研が、人事採用担当者を対象に2022年11月28日~12月9日に実施した「2023年&2024年新卒採用動向調査」によると、この時点で2023年卒採用を「継続している」企業の割合は39%と4割近くに上ることが分かりました[図表1]。1001名以上の大企業では26%ですが、301~1000名の中堅企業は40%、300名以下の中小企業では48%と半数近くにもなっています。

[図表1]2023年新卒採用活動の継続状況

資料出所:HR総研「2023年&2024年新卒採用動向調査」(2022年11~12月、以下図表も同じ)

 一般的に新卒採用は、「企業(選考して採用する側)=強者」「学生(選考を受けて採用される側)=弱者」と一括りに捉えられがちですが、決してそんなことはありません。学生も「企業を選ぶ」側であり、企業も学生から「選別される」側であることを学生や一般の人にも理解してもらいたいところです。今後、企業と学生、企業と従業員の関係は、これまで以上に互いに「選び、選ばれる」、対等な関係の側面が強くなることでしょう。企業はこれまで以上に、学生や従業員に対して、「個」を尊重した、「個」への対応を迫られそうです。
 HR総研では、価値ある情報をこれからもしっかりとお届けしてまいります。本年も何とぞよろしくお願いいたします。

志望度向上には「個」への対応がカギ

 さて、今回は前回に引き続き、HR総研が「楽天みん就」と共同で2022年6月に実施した「2023年卒学生就活動向調査」の結果を基に、就活生の自由記述による回答を紹介していきます。2023年卒学生の本音の声を確認いただき、ぜひ今後の採用活動の参考にしていただければ幸いです。
 まずは、「企業の選考を受ける中で、志望度が上がったエピソード」を取り上げます。企業の欠点の開示や質問への丁寧な対応のほか、応募者を「マス」としてひとまとめに対応するのではなく、応募学生一人ひとりへの個別の対応が非常に重要であることが分かります。

・一番志望度が変化する機会は面接で、ただ一方的な質問をされるのではなく、こちらからも質問をすることができ、「すり合わせ」をしてくれた時(文系、中堅私立大)

・面接の中で興味関心を丁寧にヒアリングしてくださり、「うちの会社のここの部門にはとてもマッチしそうだね」というお話をしてくださったこと。本当にその会社で自分の能力を生かせると信じられるような面接を展開してくださったこと(文系、中堅私立大)

・面接官の方が面接中に話しやすくしてくださったり、採用担当の方が面接前後に親切に対応してくださったりと、人柄が非常に良いと感じられたこと。説明会で、残業や福利厚生などについて、正直に話すふりではなく本当に正直に話してくださったこと(文系、上位私立大)

・面接でエントリーシートに書いた作文の感想をわざわざ伝えてくださり、「すごく素敵な文章だったから会ってみたいと思っていた」と伝えてくださった時、就活生一人ひとりを見てくれていると感じ、志望度が上がった(文系、その他私立大)

・お世話をしてくださったリクルーターの方々がとても優しく、最終面接のときには仕事の途中にもかかわらずわざわざ会いに来て直接励ましてくださった(文系、旧帝大クラス)

・就活に対して、私と似た考えを持った先輩社員の方の話を聞き、自分のやりたいこととこの会社でできることが一致していると感じた時、志望度が高まった(理系、旧帝大クラス)

・面接官の印象は非常に志望度に影響した。コミュ力が期待値ナンバーワンとフィードバックいただいた時に認められた感じがして、とてもうれしく志望度は上がった(文系、上位私立大)

・Web座談会に参加したら、人事の方から「ぜひ会社見学に来てほしい」と言われ、会社見学をさせていただいたところ、社員の皆さまが笑顔で働いており、職場環境について知れる良い機会になったとともに、そのような場を与えてくださったことに感謝し、志望度が高まった(文系、上位国公立大)

・エントリーシートに書いていた大学の制度についてわざわざ調べてくれていたこと。採用に真摯に取り組んでいると感じた(理系、その他私立大)

・YouTubeに、その企業が行おうとしていることがアニメーション形式で上げられており魅力的に感じたため(理系、その他私立大)

・本来なら4回面接があるところ、2回目の面接の際に「3回目は免除します」と言っていただいたこと(文系、旧帝大クラス)

・会社の欠点を誠実に教えてくれて、かつそれをこれからどう改善しようとしているのかも教えてくれた企業があったが、そこの志望度は高くなった(文系、早慶大クラス)

・インターンシップ等で、会社の良さや実績をゴリ押しするのではなく、会社内や社員の事例を通して社会勉強ができたり、こういったことを意識してほしい等の汎用性のある情報を与えてくれたりする会社は、経験が豊富で余裕のある経営ができていると思うことができ、志望度が増した(理系、旧帝大クラス)

・対面での面接の後、すぐに電話をいただき、面接のフィードバックを細かく行っていただいたこと。毎回変わる面接官の間でもしっかりと情報共有がされていて、毎回矛盾なく面接を進めることができたこと(理系、その他私立大)

・人事の方がとても丁寧。一人ひとりをきちんと見ていることが伝わってきて、フィードバックをくれ、不安に思っていることがないかなどを選考段階で聞いてくれた。言葉や行動の端々に就活生、人、社員を大切にしていることが感じられ、この人たちと働きたいと思うことができた(理系、上位国公立大)

・自身の興味や選考を踏まえてその企業でどのような仕事に取り組めるか、企業側から教えていただいたこと(理系、旧帝大クラス)

・面接官の方が私自身に興味を持っている(少なくともそう見せている)感じが伝わった企業は、非常に選考に対するモチベーションが上がった(理系、上位私立大)

・OB訪問やリクルーター面談、人事面接、人事課長面接、最終面接、人事部の方との面談など、どの部分をとっても威圧的な雰囲気を感じたことがなく、どの選考ステップでも志望度が上がったため、運命的だと感じた(文系、旧帝大クラス)

・最終面接の前に、一人ひとりに人事の方が会いに来てくださり、温かい言葉をかけてくださったこと。ドアの前まで案内してくださり激励をしてくださったこと。大人数いる中でも一人ひとり丁寧に接してくださりうれしかった(理系、上位国公立大)

志望度は面接官や人事担当者の対応で簡単に下がるもの

 続いて、逆に「企業の選考を受ける中で、志望度が下がったエピソード」についても見てみましょう。

・「結果は合否にかかわらず連絡する」と言っておきながら連絡が来ず、その旨をメールで伝えても返信が来なかった。電話でようやく「合格者のみに連絡をした」と言われた(文系、中堅私立大)

・「一次面接の結果は合否にかかわらず〇〇日にマイページで連絡する」と記載しておきながら期日を過ぎても連絡がなく、メールでの催促をしたところ詫びの一言もなく不合格の通知がマイページに表示されていた(文系、上位私立大)

・面接を受けて合格連絡があったものの、その後1カ月以上次回の面接の日程についての連絡がなかった(理系、その他国公立大)

・選考辞退のメールを無視した上で一斉送信のお祈りメールを送られたこと。書類選考から2カ月後にお祈りメールを送られたこと(理系、中堅私立大)

・ジェンダーにかかわることなど、今の時代にそぐわない発言を繰り返していた(文系、旧帝大クラス)

・とあるIT企業で、説明会での社長の話で、女性差別・国籍差別ともとれる発言があったこと。また、その企業の面接で、こちらが全く気にしてもおらず、聞いてもいないのに「うちは社内恋愛禁止だから」と面接官から言われたこと(文系、旧帝大クラス)

・面接中に「うちは22時まで残業当たり前、土曜日も強制ではないがほとんどの人が出勤しているから、そのようになるが大丈夫か」と言われたこと(文系、旧帝大クラス)

・面接官が、会話をしてくれなかったこと。短い質問を投げかけるばかりでそこから深掘りをされなかったため、興味を持たれていたいのかと不安になったとともに、これならエントリーシートで事足りるのではと疑問に思った(理系、上位国公立大)

・インターンシップで、社員の方が「仕事内容に面白みややりがいはないが、単調な仕事の割には給料がいい」とおっしゃっていたのを聞いて、やりがいが欲しい自分には向いていないと感じた(理系、上位国公立大)

・エントリーシートにお酒を飲むかどうかを記入する欄があったこと。面接にて、家族構成や父の職業を聞かれたこと(文系、上位私立大)

・面接官が面接中にあくびをしており、面接に向けて準備したり緊張したりして臨んでいることが馬鹿馬鹿しくなった(文系、上位私立大)

・面接官の方の態度があまりよくなかった。目も合わせず、宙を見てボーっとされたりすると、志望度が下がった(文系、早慶大クラス)

・面接が圧迫気味で、あまり話を聞いていただけなかった。また私の発言に対して、とにかく否定的な意見を言われ、傷つくというよりはどちらかというと納得がいかないまま終わった企業があった(文系、早慶大クラス)

・うちが面接してやっているんだというような、企業としての優越的な地位を背景とした面接は一気に志望度が下がりました。また、深夜1時ころに企業から連絡が来たときも非常識度合いにあきれました(文系、中堅私立大)

・企業の社員の口コミが載っているサイトなどを見ると、真偽は分からないけれどマイナスな面もよく書かれているので、少し印象が変わることもある(文系、上位私立大)

・会社の提供しているサービス内容の評判が良くない口コミを見て、それについてオブラートに包んで聞いた時に良い面しか言わなかったこと(文系、上位私立大)

・面接官の雰囲気が暗く、目がどんよりしていたので、きつい仕事なんだろうなと思ってしまった(文系、旧帝大クラス)

・面接の開始予定時刻から30分以上遅れて面接が開始され、応募者を大切にしていないと思って志望度が下がった(理系、旧帝大クラス)

・面接で話している中で興味を持たれていないと感じたり、明らかに態度が悪くなったりした時(文系、中堅私立大)

・ガクチカや志望動機の中で深掘りがないと、私自身の何を見て、何を評価しているのか定かでないため志望度が下がった(文系、早慶大クラス)

 面接官の態度や選考結果の連絡に関するものが大半となっています。パーパスや事業内容、仕事内容、将来性といった本来の企業価値とは全く違うところでマイナスの評価を受けてしまうことは、非常にもったいないの一言に尽きます。ただし、逆に考えれば、それだけ改善できる余地は大きいともいえます。事業内容は簡単には変えられませんが、面接官の態度の改善や、選考結果連絡の誠実な対応などは、やろうとすればすぐにでも実施できることです。今一度、自社はどうなのかを学生の立場に立って振り返ってみてはいかがでしょうか。
 また、口コミサイトは、かつてのような内定者の体験談や進行中の選考過程に関する口コミだけでなく、当初は転職者向けに社員や退職者による口コミを掲載していたサイトが、そのサービスを就活生に向けても展開し、今やユーザーの半数近くが学生だというサイトも現れており、新卒採用においてその影響を無視できなくなってきています。自社のことがどう書かれているのかを事前に確認した上で、それについて質問されたときにどう真摯に回答するかなども用意しておいたほうがよさそうです。

同じ意図でも聞き方によって不快に

 今度は、「面接や説明会を通じて、企業の社員や人事に言ってほしくなかった言葉」を紹介します。自社に当てはまるものはないか、ぜひ確認してみてください。

・研究内容の質問の回答に対して全く分からないなあと言われた。説明不足なところはあると思うが、明らかに相手の知識や理解力が質問に対して足りないと感じた(理系、旧帝大クラス)

・技術系の社員である面接官に、「御社が手掛ける数ある商材の中で、現在の商材を選ばれた理由はなんですか?」と聞いた際、「なんでもよかったんだよねぇー。なんでだろ」と返された時には、仕事に対する熱意や商品・技術への愛を知りたかったため、「働くって、そんなものなのか」と悲しくなった(理系、上位国公立大)

・質問への回答で自身の考えを述べた際、一言めから否定から入り、かつ首を傾げられた時、実際に違うと思っていたとしても態度には出さないでほしかった(文系、中堅私立大)

・「ご両親に企業選びを指示されて今日来られたんですか?」と最終面接で言われたのがショックだった。自分の興味にのっとって選んでいたのに。面接官の意図は「相談しているのか」だと想像するが、言い方が悪いと思う(文系、その他私立大)

・ジェンダーバイアスのかかった発言。とある企業で「やはり男性は出世したいと思うので~」、「女性は旦那さんの転勤についていくと思うので~」といった発言があり、違和感を覚えた(文系、旧帝大クラス)

・「なぜ御社を選んだか」という逆質問に対して、「ご縁があって」と言われた。学生には志望動機を聞いたのにはぐらかされて残念だった(文系、中堅私立大)

・私が「海外でも働きたい」と言った直後に、「海外で仕事をした人は帰国後、仕事できないから俺は断り続けている」と言われた(文系、旧帝大クラス)

・説明会ではチームワークを大切にするようなことを言っていたが、面接では個人の裁量によるところが大きいと言われた(理系、旧帝大クラス)

・家族構成や父の職業、居住地などを聞かれたこと。これは面接とは関係ない雑談ですが、という前置きがあったが、それでも不快であった(文系、上位私立大)

・面接の最後に、就職活動頑張ってください、応援しています、というような意図で、「今後の活動がうまくいくことを、お祈りしています」と言われたのは非常に不快だった。「お祈り」という言葉をわざわざ使っていただきたくなかった(文系、上位私立大)

・「面接ではあなたたちの本性を暴きますから。嘘ついたって分かります、覚悟していてください」と説明会で言われ、選考を辞退しました(文系、上位私立大)

・オンラインのグループディスカッションの際に画面共有をしてもいいかを聞いたところ、そんなことをする人を聞いたことがない、といった雰囲気で否定されたこと。画面共有は可能な企業が多いので、あまりIT慣れをしていない企業なのではないかと思い、引っかかった(文系、早慶大クラス)

・製薬企業のMRの選考を受けた際に、人事の社員さんが文系学生に対して、「半年もあれば知識は入れることができ、文系出身であっても薬学部卒の学生と遜色ない水準で十分対応できる」と話していた。薬学部在学中の身としては、6年間かけて学んだ知識に対して、半年で追いつけると表現されたことが専門知識に対する敬意が欠けているような気がして不快でした(理系、早慶大クラス)

・志望業界を聞かれ、その企業の業界を含む二つの業界を挙げたのですが、「○○(その企業ではないほうの業界)は合いそうだね」と言われショックでした(文系、早慶大クラス)

・カンペを見てないなのに、「何か見て話している?」と聞かれたこと(文系、上位私立大)

・「あなたを雇うメリットは何ですか?」と聞かれ嫌な気持ちになった。「弊社で活かせる強みは何ですか?」など聞き方を変えてほしかった。上から目線の聞き方のように感じた(文系、その他国公立大)

質問しづらい内容を積極的に活用すべき

 次に、「面接や説明会を通じて、質問したいけれど、自分から質問するのは勇気が必要だった、もしくは質問できなかったこと」に対する回答を紹介します。
 テーマとしては、福利厚生、待遇・手当、残業時間、勤務地・転勤を挙げる学生が8割近くに上っています。仕事内容だけでなく、働く環境・勤務条件は就職先を絞り込む上で重要な要素であることは間違いありません。説明会や面接で学生から質問が出なかったとしても、企業側から積極的に言及することで志望度を向上させる効果がありそうです。

・給料の上がり方。結局30代、40代でいくらもらえるかが一番大事(理系、その他国公立大)

・30歳での年収、早期退職の理由(文系、上位私立大)

・平均残業時間を聞くのは労働意欲が低いと思われそうで勇気がいった。質問できなかったことは、平均年収。サイトや本によってもまちまちで本当のところを聞きたかったが、最後まで聞けなかった(文系、早慶大クラス)

・具体的な待遇(期末手当はあるのか、ボーナスはいくらか)についてはグイグイ聞いていいのか否かという葛藤があった。そういった質問は内定後に聞いていた(文系、中堅私立大)

・「ボーナスが何カ月分出るのか」これは質問できませんでした(文系、その他私立大)

・ほとんどの企業のホームページでは、福利厚生は非常にざっくりとしか書かれていないため、退職金のことや家賃手当について細かく知りたかった(理系、上位国公立大)

・引っ越し費用や家賃補助について(文系、その他国公立大)

・会社の寮に入れるのは何歳までか(理系、旧帝大クラス)

・福利厚生や昇給に関する質問はNGとする風潮があるため、大事な要素のはずだが質問できなかった(文系、早慶大クラス)

・実際の福利厚生の利用度(文系、中堅私立大)

・周りの方から仕事内容などの難しい質問が多かった時に、自分が気になっている勤務地のことなどが聞けなかった(理系、その他私立大)

・ワーク・ライフ・バランス、転勤の多さ(文系、早慶大クラス)

・週に一回は定時で帰らなければならないという決まりがある企業で、定時で終わりきらなかった分の業務は自宅で消化する必要があるのかどうか質問できなかった(理系、中堅私立大)

・入社してみて感じた悪い意味でのギャップ(文系、旧帝大クラス)

・少し年齢層が高い社員さんに、「今就活生だったとしても、この企業を選びますか?」という質問をしたかったのですが、勇気が足りずできませんでした。数十年前と現在では、社会情勢も会社のスタンスも大きく変わっていると思うので、それを踏まえてもいい会社だといえるのかということを聞きたかった(理系、旧帝大クラス)

・残業について、上の人より先に下の人が帰れる環境かどうか(文系、上位私立大)

・実力主義をうたっている会社に特に多い、最高レンジの年収をよく紹介してくるが、実際にそんな額をもらえている方が何人いるのかを質問したかったができなかった(文系、中堅私立大)

・本当に自宅から通える圏内にしか、転勤はないのか。どうしても入社したい企業だったため、聞くことにより内定が出ないことになるかもしれないと思い、躊躇(ちゅうちょ)してしまった(理系、その他私立大)

・面接の場では会社のネガティブなこと、自分の思う懸念点を聞きにくい(文系、旧帝大クラス)

・残業手当、海外手当、住宅手当、出張手当の程度(文系、早慶大クラス)

・グループ企業と本社との関係性、職場のストレス(理系、上位私立大)

・女性が役員になる可能性は実際どのくらいなのかを最終役員面接で聞こうと思ったが、面接官である役員2名とも男性だったので聞けなかった(文系、その他私立大)

・女性の結婚率や何歳くらいで結婚・出産される方が多いか(理系、上位国公立大)

・1年次の教育場所や教育期間、教育方法、また働く場所、テレワークの頻度について(文系、上位私立大)

サイレントに対する切実な声と怒り

 最後に、「就職活動中、企業側に改善してほしいと感じたこと」を紹介します。やはり「サイレント」(不合格者には連絡なし)や合否連絡の遅さ、面接官の態度を挙げる学生が多くなっています。改善できる点はぜひ次年度の採用活動の参考にしてください。

・サイレントお祈りは、本当にやめてほしいと感じた。せめて1カ月以内か、もし選考に時間がかかっているのなら、その旨を連絡してほしいと思った。最終面接で非常に誉められ、「すぐに連絡します」と言われたのにもかかわらず、サイレントお祈りをされ、不買運動を起こしたくなった(理系、上位国公立大)

・ごくまれに、エントリーシートの合否すら届かずに落ちたと悟る企業があったのが少し悲しかった(文系、上位私立大)

・不採用となるときに2週間ほど待たされてからメールが来ることが多いので、もう少し早く結果を伝えてほしい(理系、旧帝大クラス)

・選考結果の連絡をできるだけ早くしてほしい。本当にギリギリまで考えてくださっているのであればよいが、「不合格にすることは決まっているが通知期間のギリギリに知らせる」というやり方を採っているのであれば改善していただきたい(文系、旧帝大クラス)

・連絡や問い合わせへの返事は1週間以内にしてもらいたい(理系、その他国公立大)

・理系学生に後付けで推薦を求めることはやめてほしい(理系、旧帝大クラス)

・証明書関係は費用がかさむので、PDFファイル等での提出を認めてほしい(文系、中堅私立大)

・オンライン説明会・面接は、ZoomやTeams、Webexなどのメジャーな会話ツールを使用してほしい。マイナーなものを使って接続不良があったため(文系、中堅私立大)

・大手企業のオンライン面接はすぐに枠が埋まってしまうので、そこを改善できないかと思う。書類選考を通過して一次面接を受けようとしたら1カ月も予約が取れなくて空いてしまった(文系、その他私立大)

・明らかに落ちるんだろうなと面接中に感じるほどの態度はやめてほしい(理系、中堅私立大)

・笑顔のない面接官は志望度が下がるので、笑顔は何に関しても必要だと感じた(文系、旧帝大クラス)

・やはり和やかな雰囲気で面接をしてほしい。圧迫をしていいことは双方、一つもないと思う。また、エントリーシート通りの面接ではなく、会話をメインとした面接にしてほしい(理系、上位国公立大)

・書類で通ったのならば一次面接はしっかりしてほしい。最初から聞く気のない態度をとられた場合、かなり志望度が下がる(理系、その他国公立大)

・面接日程を多数用意して、他社と被らないようにしてほしい(理系、早慶大クラス)

・日程調整もあるので選考結果が出てから面接日程を選ぶまでの間に期間を空けてほしい(文系、上位国公立大)

・面接の開始時間を守らない会社は少し不信感を抱いてしまうので、最低限時間を守るくらいしてほしい(文系、上位私立大)

・Webテストを選考の後半の段階で行うこと。学力や適性などは事前に判断してから面接などの選考を行ってほしい(文系、早慶大クラス)

・第一志望かどうかを聞くのは意味がないのでやめてほしい(文系、その他私立大)

・支社や営業所、事業所など勤務先となる情報が全体的に少ない。地方からの就職を考えている学生に向けた対応が欲しい(文系、中堅私立大)

・コロナが流行しているにもかかわらず、対面面接で面接の間中マスクを外すよう言われたこと(理系、上位国公立大)

・福利厚生などを明らかにしてほしい。それに関してどのように感じているのか、若手社員の声を聞かせてほしい(文系、早慶大クラス)

・もう少し、多様性を考えて学生と接してほしい。ホームページに社風が分かるような写真や動画をもっと掲載してほしい(文系、旧帝大クラス)

・説明会などで、正直自分の企業に足りていない部分や課題と感じるところを話してほしい。女性の働き方についても人事の方と、その他の部署の社員の方とでは話していることが違うことがあった(文系、旧帝大クラス)

・学生側からはどうしても聞きにくい質問も多くあるので、企業側から教えてもらえるとありがたいです。内定をもらった後でも構わないので、プラスイメージだけでなくマイナスなところもお話ししてもらえると、より働く覚悟ができるかなと思いました(文系、その他私立大)

・オンライン会社説明会等のURLを、就職支援サイト等を通じて送信する際、URLのみを添付している会社が多く、ミーティングIDやパスコードを別に記載してほしかった。パソコンで開き直さないとURLに入れないため不便に感じた(文系、その他国公立大)

ガクチカ質問に工夫のひと手間を

 ここで、コロナ禍で学生生活の大半を過ごした学生からの上記設問への切実な声を一つ紹介します。
「いわゆるガクチカは、やはりコロナ直撃の学生に対して適した質問ではないと感じた。コロナ禍での工夫を知りたい、という趣旨のものもあるだろうが、やはりあらゆるものが制限され、大学生活をほとんどオンラインで過ごした学生ということを考慮して、企業側も例年の質問からひと手間変えた質問をしてくれないと、学生側はやはり答えづらいところがあると思った」(文系、早慶大クラス)

 今回紹介した声は2023年卒学生からのもので、学部生であれば大学1年の終わりごろまではコロナ禍以前と同じ学生生活を送れていた学生たちです。これから採用・就職活動の本番を迎える2024年卒学生は、入学と同時にオンライン授業からスタートするなど、かなりの行動制限を強いられ、大学3年になってようやくキャンパスに足を運んだ学生たちになります。2023年卒学生以上に大変な思いをした学生たちであることを考慮した選考活動が必要ではないかと思います。
 なお参考までに、冒頭で紹介した「2023年&2024年新卒採用動向調査」の結果の中から、ガクチカに関する二つのデータを紹介します。
 一つは、「2024年新卒採用の面接で、ガクチカ(学生生活において力を入れて頑張ったこと)に関する質問をしているか(する予定か)」です[図表2]。「未定」と「面接官による」が合わせて40%あるものの、「している(する予定)」が53%と半数を超え、「していない(しない予定)」はわずか7%に過ぎません。

[図表2]2024年卒採用面接におけるガクチカ質問の有無

 そして二つ目は、上記設問で「している(する予定)」と回答した企業に対して、「コロナ禍で行動規制があった影響を考慮して、ガクチカの回答内容に対する評価ポイントにコロナ前と変化はあるか」です[図表3]。「ある」は43%で、「ない」が57%と6割近くに上っています。皆さんの会社ではいかがでしょうか?

[図表3]ガクチカ質問の評価ポイントの変化

[注][図表2]で「ガクチカ質問をしている(する予定)」と答えた企業に尋ねたもの。

寺澤 康介 てらざわ こうすけ
ProFuture株式会社 代表取締役/HR総研 所長
86年慶應義塾大学文学部卒業、文化放送ブレーンに入社。営業部長、企画制作部長などを歴任。2001年文化放送キャリアパートナーズを共同設立。07年採用プロドットコム(ProFuture)を設立、代表取締役に就任。約25年間、大企業から中堅・中小企業まで幅広く採用コンサルティングを行ってきた経験を持つ。
著書に『みんなで変える日本の新卒採用・就職』(HRプロ)。
https://www.hrpro.co.jp/