A5判/208ページ/2400円+税/日本法令
BOOK REVIEW ―人事パーソンへオススメの新刊
■ 労務行政研究所が2022年に実施した「企業のメンタルヘルス対策に関する実態アンケート」では、2019~2021年の3年間においてメンタルヘルス不調により1カ月以上欠勤・休職した社員が「いる」と回答した企業は、91.9%と大半を占めていた。メンタルヘルス不調者は休職と復職を繰り返すケースも多く、復職可否の判断を巡って会社とのトラブルにもなりかねない。本書は、こうしたトラブルを防止するための制度設計の在り方について、実務経験が豊富な弁護士・社労士に加え、一般社団法人日本うつ病センターに所属する産業医からなる執筆陣が、規程例や判例、Q&Aを用いながら解説するものだ。
■ 1章は、法的観点と医学的観点の両方が必要となるメンタルヘルス不調者の労務管理の難しさについて触れ、企業担当者・主治医・産業医の関係性を俯瞰する。続く2章の「休職編」は、各種精神疾患の特徴等を見た上で、欠勤・休職に関するモデル規程に解説を加え、従業員が受診指示に応じない場合の対応や休職中の従業員への連絡方法など、実務上判断に迷いがちなケースについて説明する。「復職編」の3章では、休職期間満了時の規定を確認した上で、復職準備チェックシートのひな形を利用しながら職務遂行能力を確認し、復職可否の判断を行う際の問題点を取り上げる。
■ また、4章では紛争予防策として活用できる「試し勤務」や「通勤訓練」、5章では「テレワーク」に焦点を当て、詳細に解説している。本書は法的・医学的観点の両方からバランスよくアプローチしているため、メンタルヘルス不調による休職・復職者に対応する企業の人事担当者のみならず、産業医などメンタルヘルス不調者に接するすべての実務担当者は手に取っていただきたい一冊だ。
内容紹介 本書は、人事労務や産業保健の実務に携わる担当者の方々が、メンタルヘルス不調による欠勤・休職・復職等において、的確な職務遂行能力の把握と復職判断が可能となるよう解説しています。 |