2023年01月13日掲載

BOOK REVIEW - 『LEAP THE FUTURE 未来の常識を跳び越える「働き方」』

コクヨ株式会社 MANA-Biz編集部 著 
四六判/180ページ/1500円+税/プレジデント社 

BOOK REVIEW  ―人事パーソンへオススメの新刊

■ コクヨ株式会社は、「働く・学ぶ・暮らす」を専門とした調査・コンサルティングを行うワークスタイルイノベーション部において、オウンドメディア「MANA-Biz」を運営している。本書は、メディア立ち上げから10年となる節目に、個の成長と組織力向上の原動力となる"学び"について、これまで発信してきた知見をまとめた一冊だ。近い未来として2030年に焦点を置き、どのような働き方や学び方が実現しているか、予測と考察を行う。

■ 第1章は2030年の日本を舞台にした小説形式だ。主人公がバーチャルオフィスに出勤したり、休日のボランティア活動からビジネスにつながるアイデアを得たりするストーリーは、「学び」「ウェルビーイング」「多様性」「チームワーク」「テクノロジー」「サステナビリティ」という、今後の働き方におけるキーワードとなる六つの要素を織り込んでいる。第2章は、グローバルな視点で見た日本の立ち位置を、G7諸国における平均年収推移や、ジェンダーギャップなど、複数のデータから考察する。日本が抱える目下の課題を乗り越えなければ、第1章に描かれた未来は実現できないと理解できる内容だ。

■ 第3章では、第2章までで見えた課題の中から、特に働き方と密接に関係するテーマについて、研究者や経済産業省職員などの見識者と、同社のコンサルタントが対談を行う。2030年の働き方に対し、各者の描くビジョンには注目だ。最終章の第4章では、「ワーク&スタイルアイデア図鑑」として、未来の働き方における20の提案を示す。プロジェクト発起人が産官学で連携した人材バンクから自らメンバーを集める「ジョブメン・ドラフト」や、会社を擬人化したゆるキャラが社員からの意見を受け付ける「プレジドル」など、現在は実現・浸透していないアイデアもあるが、本書の内容から、有意義な実現が想像できる。これからの働き方についてヒントを得たい人に、ぜひ手に取っていただきたい一冊である。

LEAP THE FUTURE 未来の常識を跳び越える「働き方」

内容紹介
2030年、私たちを取り巻く環境は、一体どうなっているのか。
そこに向けて、今から起こすべきアクションとは……?

少子高齢化が加速し、人材不足が深刻化、さらに大きな問題となる。労働力を確保できない企業は、事業を継続することができない。世界から後れをとる技術力ではイノベーションを起こすこともできず、取り残された国、ニッポン。
そんな未来が、すぐそこに迫っているとしたら、あなたならどうしますか?
次世代を担うリーダーとなる人ほど、日本ビジネス界の現状を冷静に見つめ、このままではいけないと危機感を持っているでしょう。
本書では、さまざまなデータをもとに、私たちが考えるべき足元の課題を分析し、わかりやすく解説していきます。