BOOK REVIEW - 『これだけは知っておきたい　キャリア支援者の法律ガイドQ&A25』

■ 社会の変化のスピードが加速し、先行きが見通しづらい中、働く人々が主体的に自身のキャリアを設計していく重要性は増しており、それに伴って、キャリアコンサルタントをはじめとするキャリア支援者の担う役割も大きくなっている。キャリア支援者が受ける相談の中には、労働関係の問題に加え、離婚、借金などの法律が関わる問題もあるが、キャリア支援者の中には、これまで法律を広く学ぶ機会がほとんどなかったという人も多い。そこで、弁護士とキャリアコンサルタントの資格を持つ著者が、キャリア支援をするに当たって最低限押さえておきたい法律の知識をQ&A形式で解説する。

■ 本書は、キャリア支援者の質問に対して、弁護士である著者が答えていく構成となっている。例えば、会社でのセクハラ・パワハラが原因で転身を考えている相談者、離婚して就職を希望する相談者、多重債務でとにかく給料の額を上げたいという相談者……キャリア支援者が受けた相談に対し、法律ではどのように定められているのか、どのような対応を取り得るのかを解説していく。また、キャリア相談に関連する内容だけでなく、SNSでの誹謗(ひぼう)中傷や賃金の未払いなど、キャリア支援者自身に起こり得るトラブルについてもカバーしている。

■ タイトルに「法律ガイド」とあるように、本書は、法律家による支援が必要な相談を受けたキャリア支援者が、法律家へのリファー（問題解決のために適した専門機関を紹介したり、支援を依頼したりすること）を適切に行えるように執筆されたものである。キャリアコンサルタントだけでなく、従業員のキャリア支援に携わる企業の人事担当者にもぜひ手に取っていただきたい一冊だ。