2023年02月10日掲載

BOOK REVIEW - 『CROSS-BORDER キャリアも働き方も「跳び越えれば」うまくいく 越境思考』

井上 功 著
株式会社リクルートマネジメントソリューションズ マスター 
四六判/336ページ/1700円+税/ディスカヴァー・トゥエンティワン 

BOOK REVIEW  ―人事パーソンへオススメの新刊

■ 自らの仕事やキャリアを巡って、「このままでいいのか」「何か新しいことをはじめなければ」「本当にやりたいことが見つからない」といった漠然とした「もやもや」や気詰まり感を抱えるビジネスパーソンは多いと思われる。本書は、こうした感情を打破する有効な方法として「越境する」ことを提示する。越境することの重要さを伝えると共に、そのために必要な具体的行動も示す一冊だ。

■ 前述のような「もやもや」した感情は、物理的・心理的に自分の境界内にとどまっていることから起こるという。こうした境界を越える具体例として、本書では越境を10種類に分類している。内省による「個人内越境」、今とは異なる職種への「職種間越境」、官公庁やアカデミズムでの仕事を体験する「産官学越境」等の経済活動に関する七つの越境と、住む場所を変える「地域間越境」等の社会生活に関する三つの越境である。これらの越境を経験することで、「新しい知識」「モノの見方の転換」「新結合」「ネットワーク」「対人対応スキル」「ワクワク感」という六つのものが得られる。

■ 本書の特徴は、各越境の概要やメリット、必要なスキル、取るべきステップ等が具体的に整理されている点である。現状抱えている「もやもや」に合わせて、それを打破するための越境がイメージしやすく、チャレンジしやすい構成となっている。本書でも述べられているとおり、在宅勤務や副業・兼業の一般化などを契機に、働く場所や働く相手等が柔軟化し、越境に適した環境が整備されつつある。2022年度も残すところあと1カ月半。新年度のスタートダッシュを切るべく、本書を通じて越境に挑戦してみてはいかがだろうか。

CROSS-BORDER キャリアも働き方も「跳び越えれば」うまくいく 越境思考

内容紹介
変えるのは「自分」ではなく「環境」だ!
自分・会社・職種・世代・国…
“今”を変えたい人のための越えるべき10の境界

「このままでいいのか」「何か新しいことをはじめなければ」「本当にやりたいことが見つからない」
こんな漠然としたもやもや感や気詰まり感を持つビジネスパーソンは多い。
これらを解消する有効な方法は「越境する」ことだ。

身の回りには目に見えない境界がいたるところに存在する。
自分の仕事はここまで、うちの会社はこういうことしかできない、業界の慣習として決められている…このような境界は、内部にいると気づくことすら難しく、身動きが取れずに行き詰まりを感じてしまう。
しかし、視点を変え、適切なアクションをとれば、境界に気づき、超えていくことができる。これが越境だ。