2023年02月24日掲載

BOOK REVIEW - 『ワーケーションのはじめかた』

頼定誠、新谷雅徳 著
キャンピングカー株式会社 代表取締役社長、一般社団法人エコロジック 代表理事 
A5判/208ページ/1800円+税/技術評論社 

BOOK REVIEW  ―人事パーソンへオススメの新刊

■ ワーケーション(Workation)とはWork(仕事)とVacation(休暇)を組み合わせた造語で、テレワーク等を活用し普段の職場や自宅とは異なる場所で仕事をしつつ、自分の時間も過ごすことを指す言葉だ。多様な形態があり、大きく余暇主体と仕事主体の二つのパターンがあるとされている。本書は、アウトドアサービス事業会社の経営者と、“エコツーリズム”のパイオニアが協力し、企業がワーケーションを導入する際に必要な実務について、検討・導入・運用・効果検証などのフェーズに分け、時系列で紹介するものだ。

■ 1章はワーケーションの概要について説明した上で、その将来を俯瞰(ふかん)し、2章は実際の導入検討に当たってのフローを説明の上、実施目的の明確化やチェックリストなどを明記する。続く3章では、ワーケーションの事前準備と題し、社内承認の取り方や稟議(りんぎ)書の書き方等とともに、情報セキュリティーや労働法規をおさらいし、4章で実際にワーケーションを実施する上でのルールや基本方針の策定、導入責任者の任命について解説する。5章は労働時間管理・人事評価・セキュリティーの3分野に関するリスクマネジメントに触れ、それぞれのリスク例とその回避手段、具体的な対策を網羅する。

■ 6章はワーケーション導入後のフェーズとして、効果検証に当たっての評価項目の考え方を紹介し、制度導入後アンケートの設計方法とその分析を行う。7章では一転してワーケーションを受け入れる側(施設運営者など)の視点から、ワーケーション誘致のポイント、PR策、補助金制度の事例等を紹介している。巻末には、研究者・ビジネスパーソン・地方自治体などへのインタビューを掲載しているため、制度導入のヒントになるだろう。自社においてワーケーションの実施を検討している企業の担当者は、手に取っていただきたい一冊だ。

ワーケーションのはじめかた

内容紹介
新しい働き方を作ろう。

ワーケーションは、「Work」と「Vacation」を組み合わせた「新しい働き方」です。「仕事」と「休暇」をあわせて取ることで、社員の福利厚生、仕事の生産性や創造性のUP、企業の人事戦略など、様々な効果が期待されています。また政府や地方自治体からも、「働き方改革」と「地方創生」、2つの目的を達成するための方法として支援が行われています。

本書は、企業がワーケーションを導入する際に必要な実務を、時系列で紹介。ワーケーションの概要から、検討・準備・実施・リスクマネジメント・検証まで、導入実務全般を理解できます。また、最終章にはワーケーション誘致に関わる自治体や施設・アクティビティ関係者向けの内容もフォロー。

巻末には、総合地球環境学研究所所長である山極寿一氏をはじめ、これまでワーケーションに関わってきたビジネスパーソンや自治体担当者のインタビューを掲載。ワーケーションに関する情報をまるごと詰め込んだ1冊となっています。