2023年02月24日掲載

BOOK REVIEW - 『図解ポケット パーパス経営がよくわかる本』

相島淑美 著
神戸学院大学経営学部 准教授 
四六判/172ページ/1100円+税/秀和システム 

BOOK REVIEW  ―人事パーソンへオススメの新刊

■ 自社の目的意識や存在意義を表す「パーパス」を経営の軸に据える「パーパス経営」という言葉は、近年広く浸透している。一方で、「CSR(社会的責任)」や「ビジョン」などの既に浸透している概念とパーパスは、いったい何が異なるのだろうか。本書は、ビジネスの必須知識を1冊で解説する「図解ポケットシリーズ」の一つとして、前述のような疑問に応えるため、パーパス経営の基本から背景、導入の手順、改善のための考え方を凝縮している。

■ 全7章で構成される本書のうち、冒頭部に当たる第1章と第2章は、パーパス経営の基礎知識と、注目を集める背景を解説する。ビジョンやミッションとの違い、CSRとの関係や、背景にある「新しい資本主義」の考え方と消費行動の変化など、基礎的な内容を網羅している。第3章はパーパス経営の実践に視点を移し、先進企業におけるパーパス設定とその共有の事例を複数紹介しつつ、実践ステップを示す。第4章も企業事例を示しながら、組織強化においてパーパスが社内に与える効果をリーダーシップやエンゲージメントなどの視点から解説する。これに対し第5章では、パーパス経営が社外に与える影響をブランディングの視点から捉える。

■ 第6章はパーパス導入の流れや効果を、九つの企業・組織の事例にスポットを当て紹介する。業種や形態はさまざまだが、いずれも軸となるパーパスをゼロから組織内に浸透させ成果につなげている様子が分かる。最終章の第7章は、「理解されない」「メンバーの()に落ちていない」「実践につながらない」「組織全体が変わらない」というパーパス経営の導入でつまずきやすい4点を挙げ、対応方法を解説する。「パーパス」の基礎から学びたいビジネスパーソンだけでなく、実践に取り組む上で悩みを抱える経営者にも、最適な1冊だ。

図解ポケット パーパス経営がよくわかる本

内容紹介
設定から導入までの流れがよくわかる! ミッションやビジョンとの違いがわかる! すぐ使える中小企業の事例がわかる! 効果が上がる取り組み方がわかる! よくある疑問や導入時の課題をすっきり解決!

パーパス経営の基礎知識や実践方法を見開きの図でわかりやすく解説した入門書です。「SDGs、CSRとどう違うのか」「自社でどのように取り組めばよいのか」といったよくある疑問への回答から、多種多様な企業の事例まで、これからパーパス経営について知りたい人に向けた情報が満載です。
先行きの読めない時代の中でますます重視されるパーパス経営に取り組むにあたり、ぜひ手元に置いてご活用ください。