パーソル総合研究所 上席主任研究員
新書判/272ページ/900円+税/中央公論新社
BOOK REVIEW ―人事パーソンへオススメの新刊
■ 運次第で、引いてみないと分からない――そうしたソーシャルゲームの「ガチャ」にちなんで、若い世代の間で「配属ガチャ」や「上司ガチャ」という用語が近年よく使われている。社員にとってみれば、“人事”はそれほどまでにブラックボックスだと感じられるということだ。本書は、総合コンサルティングファームで20年にわたり人事制度改革などに携わった経験を持つ著者が、延べ86社におよぶ大手企業の人事部管理職に対し、人事異動をテーマとしてヒアリング調査を行った結果をまとめたもので、配属や異動のからくりを明かす内容となっている。
■ 1章から2章にかけては、若手・中堅の異動配置を取り上げ、そこに人事部がどう関わっているかを解説している。3章では、ハイパフォーマーやローパフォーマーと比較して目配りされないミドルパフォーマーの人事に着目し、4章では管理職登用の実態を説明している。続く5章では将来の役員候補に関する人事異動を掘り下げ、6章では「人事ガチャの秘密」を解き明かすカギともいえる“タレントマネジメント”の基本的な考え方を紹介している。
■ 7章ではQ&A形式で若手・中堅社員の具体的な悩み事を紹介しつつアドバイスを送り、最終章となる8章では人事部や経営者に向けて今後の課題をまとめている。本書の読者対象は、主に就活生~入社10年目くらいまでの若手・中堅社員を想定しているが、ベテラン層や管理職、シニア層、そして人事や経営者に向けた内容も散りばめられている。各企業の人事部門担当者のコメントが豊富に引用されており、なかなかうかがい知れない企業人事の実情を知ることができる点において、人事に携わるすべての人にとって非常に参考となるだろう。
内容紹介 意欲をくじく配属・異動、木に竹を接ぐような組織改編…… 「配属ガチャ」「上司ガチャ」が流行語になるゆえんです。しかし、一見運だけで決まるように見える人事という名のブラックボックスに対して実態調査のメスを入れた結果、人事異動や昇進についての各種のパターンをデータが浮かび上がらせました。 「人事権を持たない人事部」「一見問題ないミドルパフォーマーが盲点」等々。会社側は何を企図して(あるいは企図せず)人事を行っているのでしょうか? 「人事異動=ザ・人事」の秘密に迫ることで、皆さんのキャリアを考えるための羅針盤を提供します。もちろん管理職や人事担当者の皆さんにとっても見逃せない一冊です。 |