京都大学名誉教授、医師、労働衛生コンサルタント
新書判/224ページ/840円+税/ 筑摩書房
BOOK REVIEW ―人事パーソンへオススメの新刊
■ メンタルヘルス対策に取り組む企業は多いが、精神疾患を抱える従業員は依然として少なくない。企業におけるメンタルヘルス問題の多くには職場の人間関係が絡んでおり、部下を管理する立場にある上司は部下の心理特性を理解し、それに合わせて対応する必要がある。また、人事担当者も、そんな上司をサポートするとともに、メンタルヘルス不調者が出た場合に備えて休職・復職制度を整えておく必要がある。本書では、30年以上の産業医経験を持つ著者が、職場のメンタルヘルス・マネジメントの考え方と実践方法を伝授する。
■ 本書は大きく分けて三つのパートで構成される。第1のパートでは、上司が部下を管理するに当たって気をつけたいポイントや、上司・部下にかかわらず健康的に仕事をする方法などを紹介する。続く第2のパートでは、精神医学の最新知見を基に、さまざまな心理特性の特徴や、「抑鬱」「不眠」などのよくある精神症状について見ていく。また、「鬱状態」「不眠症」「適応障害」等の診断名の違いについて、専門家の立場から言及する。第3のパートでは、職場の制度として、休職→復職のフローで必要な制度・支援や、健康診断やストレスチェック等の健康管理の実務を解説する。
■ 著者の現場での経験と分析が土台となっている本書は、実務的な内容はもちろんのこと、メンタルヘルス・マネジメントに取り組む際に大切な考え方を上司・人事担当者に向けて伝えている。その中でも著者が強調しているのが、“人にはさまざまな特性があるので、それを把握し、トラブルが起きる前に特性に合わせた対応をすること”である。職場で部下をマネジメントする管理職や、メンタルヘルス対策に取り組む担当者にはぜひ一読いただきたい。
職場のメンタルヘルス・マネジメント――産業医が教える考え方と実践 内容紹介 社員が急に会社に来なくなった。部下が鬱になった。職場全体が疲れている……。 深刻化する職場のメンタルヘルス問題。その多くに社内の人間関係が絡んでいる。心のあり方は人によってさまざま。上司は部下のパーソナリティや心理特性について理解し、相手にあわせた立ち振る舞いをしなくてはならない。 産業医としての豊富な経験と精神医学の最新知見をもとに、管理職や人事労務担当者が押さえておくべきポイントを丁寧に解説。予防メンタルヘルスの基本がこれ一冊でまるごとわかる! |