2023年04月14日発行 労政時報本誌  4054号 014頁

特集1:本誌特別調査

基本給の昇降給ルールと賞与制度の最新実態

ジョブ型人事制度が注目されるなど、“仕事” 基準を指向して人事・報酬制度の見直しを図る動きが加速しています。そこで今回は、報酬制度の中心である基本給と賞与について、水準決定のルール設定や運用実態を探るWEB調査を実施しました。
以下では、『労政時報』第4054号(23.4.14)の巻頭特集で取り上げた同調査の集計結果に見るポイントと、基本給の構成要素の内訳について抜粋して紹介します。

■主な調査項目に見るポイント

基本給に関する制度の改定状況:2019年以降に制度を「改定した」企業は一般社員で30.8%、管理職で30.9%。今後2年間では、一般社員について28.6%、管理職について24.4%が改定を予定
基本給の構成:基本給を構成する賃金項目(複数回答)について、一般社員では「能力給/職能給」が52.5%で最も多く、「資格給/グレード給」が45.7%で続く。管理職では「資格給/グレード給」(44.9%)、「役割給」(44.2%)、「能力給/職能給」(42.0%)が4割台で並ぶ
昇降給に対する人事評価の反映:いずれの賃金項目でも昇降給に人事評価を「反映する」が7割台後半~10割と多数。「能力給/職能給」では一般社員95.4%、管理職94.9%に上る。「能力給/職能給」がレンジ給で、レンジの「上限/下限とも設定」している場合、一般社員、管理職とも賃金テーブルを「定めている」企業が約7割であり、そのうち「段階号俸表」を採用している企業が半数以上
人事評価による降給:一般社員では「全等級で降給し得る」が40.4%、「等級によっては降給し得る」が23.0%で、両者を合わせた “降給し得る” 企業は6割以上。管理職では、同68.0%、11.2%と、“降給し得る” 企業が約8割
職位別・評価結果別に見た基本給の昇降給額:標準評価時の昇給額は、部長6791円、課長6294円、係長クラス5445円、一般社員(新卒入社5年目程度)4928円
業績連動型賞与:「導入している」が63.2%。準拠指標(複数回答)は、「営業利益」が58.9%で最も多く、「売上高」が38.7%、「経常利益」が35.0%で続く
賞与支給額の査定幅:標準評価=100とした場合の査定幅(人事評価による変動部分)は、部長で最高139~最低64、課長で最高138~最低64。製造業のほうが非製造業より査定幅が広い傾向にある
支給日在籍要件:「設定している」企業が88.5%と約9割

■基本給を構成する賃金項目

 各社制度上の実際の名称にかかわらず、基本給の決定で考慮する要素に合致する賃金項目(年俸制の場合は、年俸を構成する主たる賃金項目)を複数回答で尋ねた[図表]
 一般社員では、「能力給/職能給」が52.5%で半数以上であり、「資格給/グレード給」が45.7%で続く。これらが5割前後である一方、「年齢給」が25.7%、「役割給」「職務給」がともに24.6%となるなど、その他の賃金項目は1~2割程度である。
 管理職では、「資格給/グレード給」が44.9%で最も多く、「役割給」が44.2%、「能力給/職能給」が42.0%で4割台に上る。規模別に見ると、「役割給」は1000人以上で54.7%、300~999人で49.5%と最多だが、300人未満では29.0%と3割を下回る。一方で、「能力給/職能給」は1000人以上で33.7%と、300人未満(45.2%)より10ポイント以上低い。
 一般社員と管理職を比較すると、「役割給」は管理職が一般社員を19.6ポイント上回っており、管理職での導入率が高い。一方で、「年齢給」は管理職での導入率が1割未満(9.1%)と、一般社員より16.6ポイント低くなっている。

[図表]基本給を構成する賃金項目(複数回答)

[注]1.実際の名称にかかわらず、基本給の決定で考慮する要素に合致する賃金項目(年俸制の場合は、年俸を構成する主たる賃金項目)を尋ねた。

2.「資格給/グレード給」とは、資格・グレード別に定額で決まっているもの。

3.複数の要素を考慮する場合でも、個別の賃金項目を設定していないケースは「総合決定給」として集計した。

4.「年齢給」「勤続給」について、“管理職のみあり”とする回答はなかった。

【労務行政研究所調査の調査要領】

1.調査時期:2023年1月24日~2月8日

2.調査対象:『労政時報』定期購読者向けサイト「WEB労政時報」の登録者から抽出した人事労務担当者2万7750人

3.集計対象:上記調査対象のうち、回答のあった合計276社。規模別の内訳は、1000人以上86社、300~999人97社、300人未満93社。
なお、調査では正社員を対象とし、複数の制度・ケースがある場合は「基幹的な業務に就く社員」について尋ねた。



『労政時報』第4054号(23.4.14)の特集記事

1.基本給の昇降給ルールと賞与制度の最新実態(労務行政研究所)

2.SUBARUの新人事制度

3.失敗しないジョブ型人事制度の導入と運用

4.2022年年末一時金の最終結果

5.先進企業の人事トップインタビュー(4):株式会社カインズ

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