ジョブ型人事制度が注目されるなど、“仕事” 基準を指向して人事・報酬制度の見直しを図る動きが加速しています。そこで今回は、報酬制度の中心である基本給と賞与について、水準決定のルール設定や運用実態を探るWEB調査を実施しました。
以下では、『労政時報』第4054号(23.4.14)の巻頭特集で取り上げた同調査の集計結果に見るポイントと、基本給の構成要素の内訳について抜粋して紹介します。
■主な調査項目に見るポイント
■基本給を構成する賃金項目
各社制度上の実際の名称にかかわらず、基本給の決定で考慮する要素に合致する賃金項目(年俸制の場合は、年俸を構成する主たる賃金項目)を複数回答で尋ねた[図表]。
一般社員では、「能力給/職能給」が52.5%で半数以上であり、「資格給/グレード給」が45.7%で続く。これらが5割前後である一方、「年齢給」が25.7%、「役割給」「職務給」がともに24.6%となるなど、その他の賃金項目は1~2割程度である。
管理職では、「資格給/グレード給」が44.9%で最も多く、「役割給」が44.2%、「能力給/職能給」が42.0%で4割台に上る。規模別に見ると、「役割給」は1000人以上で54.7%、300~999人で49.5%と最多だが、300人未満では29.0%と3割を下回る。一方で、「能力給/職能給」は1000人以上で33.7%と、300人未満(45.2%)より10ポイント以上低い。
一般社員と管理職を比較すると、「役割給」は管理職が一般社員を19.6ポイント上回っており、管理職での導入率が高い。一方で、「年齢給」は管理職での導入率が1割未満(9.1%)と、一般社員より16.6ポイント低くなっている。
[図表]基本給を構成する賃金項目(複数回答)
[注]1.実際の名称にかかわらず、基本給の決定で考慮する要素に合致する賃金項目(年俸制の場合は、年俸を構成する主たる賃金項目)を尋ねた。
2.「資格給/グレード給」とは、資格・グレード別に定額で決まっているもの。
3.複数の要素を考慮する場合でも、個別の賃金項目を設定していないケースは「総合決定給」として集計した。
4.「年齢給」「勤続給」について、“管理職のみあり”とする回答はなかった。
【労務行政研究所調査の調査要領】
1.調査時期:2023年1月24日~2月8日
2.調査対象:『労政時報』定期購読者向けサイト「WEB労政時報」の登録者から抽出した人事労務担当者2万7750人
3.集計対象:上記調査対象のうち、回答のあった合計276社。規模別の内訳は、1000人以上86社、300~999人97社、300人未満93社。
なお、調査では正社員を対象とし、複数の制度・ケースがある場合は「基幹的な業務に就く社員」について尋ねた。
『労政時報』第4054号(23.4.14)の特集記事 1.基本給の昇降給ルールと賞与制度の最新実態(労務行政研究所) 2.SUBARUの新人事制度 3.失敗しないジョブ型人事制度の導入と運用 4.2022年年末一時金の最終結果 5.先進企業の人事トップインタビュー(4):株式会社カインズ ※表紙画像をクリックすると目次PDFをご覧いただけます |
◎「WEB労政時報 有料版」では、2001年以降の『労政時報』記事をすべてご覧いただけます
◎ 期間限定で「WEB労政時報 有料版」の機能をお試しいただける《体験版》をぜひご利用ください
―「労政時報」最新号の全文や、記事の一部、検索機能、掲載コンテンツのインデックスページをご覧いただけます。《体験版》のご利用お申し込みはこちらをご覧ください。