2023年04月14日掲載

BOOK REVIEW - 『実践ピープルアナリティクス 人材と組織を理解するための道具箱』

岩本慧悟、藤澤 優 著
一般社団法人ピープルアナリティクス&HRテクノロジー協会 編 
A5判/256ページ/2600円+税/ 日本能率協会マネジメントセンター 

BOOK REVIEW  ―人事パーソンへオススメの新刊

■ 近年、さまざまな分野においてデータ活用が進んでいる中、人事分野でも社内の人材に関するデータを活用し、採用や配置、育成、組織状況の改善等につなげる取り組みが広がっている。こうした取り組みは「ピープルアナリティクス」と呼ばれている。本書では、これまでに蓄積されてきた実践や議論を踏まえ、企業にとってさらに役立つものへと発展させることを目的に、データ活用の考え方や方法論を解説する。

■ まず、第1章ではピープルアナリティクスがどのような取り組みなのか、文献や論文、事例を参考にしながら整理しつつ、本書におけるピープルアナリティクスの在り方を定義する。ポイントは、人材や組織の「理解」を深めるために、数値化された量的データのみならず質的データも収集して分析する、という点である。このような前提に立ったときに、どのようにデータを集め、分析していくのかを第2~4章で具体的に示していく。

■ 第5章では、これまで紹介してきた手法をどう組み合わせて実務に落とし込んでいくのかについて、「採用基準の見直し」「社員の離職防止」「研修の効果測定」「エンゲイジメント向上」という四つの事例を通して見ていく。さらに、第6章ではピープルアナリティクスを組織的に推進していくためのロードマップを提示する。これからピープルアナリティクスに取り組みたいと思っている方だけでなく、現在行っている取り組みに物足りなさや限界を感じている方にとっても、多くのヒントが得られるはずだ。タイトルにもある、“道具箱”という言葉に込めた思いとその中身については、ぜひ本書を手に取って確認いただきたい。

実践ピープルアナリティクス 人材と組織を理解するための道具箱

内容紹介
より役立つ取り組みへと消化させるための実践書

複雑で絶えず変化する人材と組織について、あらゆるデータを活用することで「理解」し続けるための考えや方法論を、あますところなく盛り込んだ一冊

近年、企業においては人材の採用や育成、退職、あるいは組織状況の改善に至るまで、企業ではたらく「人々」に関する様々な問題を解決するために、「データ」を活用しようという意欲や活動が活発化している。

このような取り組みは「ピープルアナリティクス」と呼ばれるが、本書はそれを推進するための方法論を具体化した、“これまでとは異なる”推進の考え方やノウハウを凝縮した実践の書である。